導入効果
- 必要な時に必要な分だけのリソースを最小限のコストで迅速かつ容易に利用できる環境を構築
- デプロイ自動化でシステム開発の速度が速まりビジネスアジリティ向上
- サイトアクセス数の急増にも耐えられる高可用で堅牢なインフラを獲得
導入背景
四国電力株式会社では、これまで、データ容量や利用者数が確実に見通せるシステムが大半であったことから、低コストで安定的にシステムを運用できるオンプレミスのサーバー環境でシステムを構築しておりました。
そのような中、引っ越し等に伴う電気の使用開始・廃止などの登録やスマートメーターで計量された30分ごとの電気の使用量の照会などといった、お客さま自らがご利用になるお客さま向けシステムについては、サービスの拡充を目的として全面的な刷新を行うことになりました。これに伴い、情報システム基盤についても、現行システムと比較して、ピーク時の大きな処理能力とお客さま数の増加に伴うスケーラビリティが求められることとなりました。
また、昨今では顧客獲得・還元を目的とした販促施策も活発化しており、システム改修が高頻度・短期間化する傾向にある中、アプリケーション構成も陳腐化している状況にありました。
今後も、安定した高品質なサービスをその時々に応じてタイムリーに提供するためには、アプリケーションのモダナイズを行うとともに、抜本的なシステム構成の見直しが必要でした。
課題
オンプレミスのサーバー環境は、
- システム負荷が最大となるタイミングを基準としたピークサイジングにせざるを得ず、システム負荷が低い時期もあることを考えると、結果的に過剰な設備となる傾向
- 想定以上のシステム負荷が生じた際の迅速なリソース増強が困難
という課題がありました。
さらに、タイムリーなサービス提供にも課題がありました。長期的な計画に基づいた会計や人事等の業務系システムの改修時には、システム全体の不整合が生じないよう、一定の期間を設けて入念なテストを実施することで品質を担保していました。しかし、システム改修が高頻度・短期間となりがちなお客さま向けシステムで同様の手法で品質を確保しようとすると、十分なテスト期間を設けざるを得ず、結果として思い通りのタイミングでのサービス提供が困難となる傾向にありました。
解決策
単純なシステム負荷の増大だけでなく、お客さま向けシステムの特長である「繁忙期や時間帯に応じて頻繁に変化するユーザアクセス量」に対応するため、オンプレミスのサーバー環境ではコストを抑えながらの対応に限界があることから、同社では従量課金型のパブリッククラウドを活用することを決めました。
併せて、アプリケーションのモダナイズを行い、アプリケーション・デリバリーの改善を目的としたCI/CD環境の整備を行うことしました。
これらを実現すべく、パブリッククラウドとしては、お客さま向けシステムでの活用事例が多く、対応可能なアプリケーションベンダが多いAWSを採用しました。
同社は、パブリッククラウドの活用経験が少ない中、基幹系システムとのデータ連係のためにオンプレミス環境とAWSとを専用線で接続するなど、システム構成が大規模かつ複雑となることや、高品質な環境構築と安定運用の継続を実現するため、AWSに精通したベンダの支援を受けることとしました。
導入効果
同社のお客さま向けシステムは、基幹系システムとのデータ連係も多く、提供される機能も多岐にわたることから、一括で移行することは難易度が高いと判断し、必要な時に必要なリソースを利用できるパブリッククラウドの特性を生かし、段階的にAWSに移行することにしました。その第1ステップとして、引越し等に伴う電気の使用開始・廃止の申し込み機能をターゲットとし、プロジェクトを開始しました。
本プロジェクトにおいてAWSに移行したことで、柔軟なインフラを手に入れ、必要な時に必要な分だけのリソースを、必要最小限のコストで、迅速かつ容易に利用できるようになりました。
移行タイミングでアプリケーションのモダナイズを行い、コンテナとCI/CDによるデプロイの自動化を実現したことにより、システム開発の速度が速まり、ビジネスアジリティが向上しました。コンテナのベースに、マネージドサービスであるECS+Fargateを選定したことで運用負荷も低減しています。
CDN(CloudFront)とロードバランサ(ALB)による負荷分散、コンテナのAutoScalingの導入によって、サイトアクセス数の急増にも耐えられる高可用で堅牢なインフラを手に入れ、サイト運営における問題をクリアすることができました。データベースサーバもAuroraを採用することで、コスト面、性能面でメリットを享受できています。
パブリッククラウドの活用経験が少ない中、こうしたAWS内部の設計にとどまらず、オンプレミス環境との専用線接続におけるネットワーク設計など、ハイブリッドな情報システム基盤構築において、TOKAIコミュニケーションズの支援を受けたことで、これらの環境を実現することができました。また、回線帯域の拡張や接続先VPCの増加にも対応可能な設計とし、将来的にAWS利用を拡張していくことが可能な構成となっています。
運用開始後の監視や保守に関しては、AWSサービスのパッチリリース情報の提供や適用などのTOKAIコミュニケーションズの運用支援を継続して受けることで、安定稼働が実現できています。
今後の展望
お客さまからの電気の使用開始・廃止の申込み機能を先行してAWSに無事移行でき、大きな問題もなく安定稼働しています。同社は、これまでの知見も踏まえ、引き続きTOKAIコミュニケーションズの支援を受けながら、次はメイン機能群をAWSに移行およびモダナイズし、お客さま向けシステム全体が再構築されることによるお客さまの利便性向上とともに、更なるビジネスの発展を目指したいと考えています。
- ※ 本導入事例の内容は制作時(2023年5月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。
- ※ 記載されている会社名、製品名、サービス名、ロゴ等は各社の商標または登録商標です。
Company Profile
四国電力株式会社
- 設立
- 1951年5月
- 所在地
- 香川県高松市
- 事業内容
- 電気事業
- URL
- https://www.yonden.co.jp/