AWS導入事例 AWSを採用し、基幹システムを初めてクラウド化。運用負荷の軽減と柔軟な拡張性を実現

  • トランスコスモス株式会社様
  • 情報サービス業
transcosmos people&technology

導入効果

  • 月1回程度発生していたデータセンター内作業がなくなり、運用負荷が低減
  • 数分の作業で必要なスペックのサーバを調達することが可能に
  • システムの全体最適化の観点から将来的な全面クラウド移行も視野に
  • 高セキュリティで安心安全な外部公開システムの導入を実現
  • 働き方改革の推進に伴う在宅勤務やリモートワーク環境の拡充を実現

導入背景

オンプレミス環境の運用負荷増大や拡張性に課題

顧客企業の売上拡大とコスト最適化を統合的かつグローバルに支援するトランスコスモス株式会社は、大きく2つの事業を展開している。1つめが、顧客企業のビジネスに人とテクノロジーを提供して最適なビジネスプロセスの構築・運用を支援するBPO事業、そしてもう1つが、デジタルマーケティング/EC/コンタクトセンターの各サービスをワンストップで提供し、顧客企業と消費者とのコミュニケーション最適化を支援するDEC事業だ。これまで同社では、社内の基幹系業務システムをオンプレミス環境で随時構築してきたが、運用負荷の増大やシステム単位でのサーバスペックの過剰・不足、拡張困難といった課題を抱えていた。そこで、複数のハードウェア/ミドルウェアのサポートが終了するタイミングを機にシステム基盤をアマゾン ウェブ サービス(AWS)に移行することを決定。パートナー企業としてTOKAIコミュニケーションズを選定し、約2か月間で5つの業務システムをAWS上に移行した。

移行後もAWS環境の利用を拡大しており、高セキュリティを実現した外部公開システムの導入や、将来の拡張性を考慮したネットワーク環境の導入も実現。更に、昨今の感染症拡大への対応として、以前より推進していた働き方改革に伴う在宅勤務やリモートワーク環境の拡充として、4,000台以上の仮想デスクトップ環境の利用を開始した。

トランスコスモス株式会社
本社管理総括
経営情報戦略統括部
シニアマネジャー
永易 智紀 氏

課題

部分最適化された既存システムが抱える課題

トランスコスモス株式会社では、これまで伝票システム、電子申請システム、受発注システム、派遣管理システム、連結会計システムという5つの基幹系業務システムをオンプレミス環境で構築していた。

しかしこれらは必要なタイミングで都度構築してきたことで、部分最適に起因する様々な課題が発生していた。当時の状況について、本社管理総括 経営情報戦略統括部 シニアマネジャーの永易智紀氏は、次のように説明する。

「第一に挙げられるのが、運用負荷の増大です。5つのシステムには手組みのものもあればパッケージ利用のものもあり、OSもWindowsとLinuxが混在していました。OSが2種類あるだけでも運用工数は2倍になります。まず運用フェーズをいかに効率化するかが問題でした」。

第二に、システムごとに必要となるサーバスペックにバラつきが出ることに加え、リソースの追加にも手間がかかることだ。

「サーバを新たに購入しようとする時には、3~5年先の利用状況を見越した上で調達します。その際には余裕を持ってCPUやHDDなどのスペックを見積もりますが、実際に運用を開始すると想定値よりも上下にぶれてしまうことはよくあります。スペックの平準化を図ることが難しかったのです。一度発注したものに対してリソースを追加する場合の社内手続きの煩雑さも感じていました」。

そして第三に、システム増強時に発生する作業負荷やサービス停止といった問題だ。

「スケールアウトやスケールアップをする際には、稼働している機器と同じ製品がもう提供されていない場合があり、その時々で最新の機器を選択することになります。そこでまたシステムの構成がバラバラになりますし、新しい機器を追加する時にはサービスを一旦停止する必要もあります。我々の作業負荷は増え、エンドユーザのビジネスにも影響が出る。こうした状態が発生してしまうことも課題でした」。

その他にも、働き方改革に伴う在宅勤務やリモートワーク環境の拡充や将来のシステム拡張に備えた、より柔軟で高セキュリティ、拡張性の高いネットワーク環境の導入が必要であった。

解決策

既存DB製品が利用可能なAWSを選択

そこで同社は、複数のハードウェア/ミドルウェアがサポート終了を迎える時期を狙って、システム基盤をクラウド環境へ移行することを決定した。これまでのオンプレミス環境は、渋谷の本社ビルと都内データセンターの2か所に構築されていた。

新たな環境に求めた要件は大きく3つあった。システム運用の負荷を軽減できること、システムリソースの増減にも柔軟に対応できること、運用コストの最適化を図ることだ。

同社は、TOKAIコミュニケーションズを含む3社のITソリューションベンダーに提案を依頼、最終的にサービス基盤としてAWSを、パートナーとしてTOKAIコミュニケーションズを選択した。

まずAWSを選定した理由について、永易氏は次のように説明する。

「理由としてはほぼ1つで、我々が使用している商用データベースのサービスやサポートが提供されていることでした。もちろん他の有名なクラウドサービスも検討しましたが、インフラ上のDBシステム構築は自力で行う必要があり、そもそも我々が使用しているDBはその環境上では動かない、サポート対象外などの理由で、検討が進みませんでした」。

これに対してAWSでは、ユーザ企業が自分たちでインフラ上にDBシステムを構築することもでき、また使用しているDBの組み込まれた環境を提供するサービスも用意されていた。

「データベースを含む既存のシステム環境をそのまま移行できること、そして将来的にはSaaSのような使い方まで期待できることが、AWSを選んだ理由です」。

選定ポイント

実績、価格、提案内容の“腹落ち感”でTOKAIコミュニケーションズを選択

そしてTOKAIコミュニケーションズをパートナーとして選定した理由について、永易氏は「これまでの取引実績と価格、そして何といっても提案内容の“腹落ち感”です」と強調する。

同社では2015年頃、社内で在宅勤務などを推進する議論が持ち上がり、PCの仮想化やシンクライアントの導入を検討し始めた。ちょうどその頃リリースされたのが、AWSの仮想デスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」だ。

永易氏はネット上で“TOKAIコミュニケーションズが自社にAmazon WorkSpacesを導入して効果も出している”という記事を見つけ、セミナーにも参加し、Amazon WorkSpacesの導入支援をTOKAIコミュニケーションズに依頼した経緯がある。

その時の実績から、TOKAIコミュニケーションズにはAWSやネットワークについての十分なノウハウと価格優位性があることを認識していたという。

「今回は5つのシステムをクラウド環境へ移行することに加え、その基盤上で、電子申請システムを新たに構築し直すところまでをプロジェクトの対象範囲として提示していました。そうした条件を踏まえた上で出してもらった提案の内容は、TOKAIコミュニケーションズが頭一つ、抜きん出ていました」。

その顕著な例として永易氏が挙げるのが、クラウド環境への移行に際してのリフト&シフト方式の提案だ。

「今回のクラウド移行に際しては、社内でアプリケーションの改変も同時に行うか、一旦そのまま移行するかの議論がありました。その際にTOKAIコミュニケーションズからは、まずは基盤だけリプレイスして、アプリケーションは今のままの環境を移行し、その状態で正しく動くことを担保しつつ、まずはクラウドに慣れてくださいというアドバイスをもらいました。やはり全てを変えながら移すというのは非常に難易度が高いですし、移行後の稼働検証も必要で、時間もかかる。そこでまずはシステム基盤のクラウド移行を優先することに決めました」。

プロジェクトは、2017年12月から2018年1月にかけてTOKAIコミュニケーションズと共にシステム設計を行い、同年2月から3月末までのわずか2か月間で移行を完了。その後、テストやチューニングを経て、5月から実運用を開始した。また、今回都内のデータセンターとAWSの間はTOKAIコミュニケーションズのAWS接続サービスを用いて接続(1Gbps)し、クラウド環境へのストレスのないアクセスも確保した。

5つのシステムのクラウド移行が完了した後は、段階的にその他システムの移行を進め、外部公開システムのAWS移行もTOKAIコミュニケーションズに依頼。社内のセキュリティ基準に準拠し、AWS WAFやサードパーティソリューションのWafCharmを導入することで、WAFルール運用の自動化や高いセキュリティを確保することができた。
さらに、2020年4月から10月にかけて、働き方改革の推進に伴う在宅勤務やリモートワーク環境の拡充に伴い、AWS接続サービスの接続回線を5Gbpsに拡張。あわせて、AWS Transit Gatewayを導入することで、拡張した既存の回線を利用し、新たに4,000台以上のAmazon WorkSpacesを利用可能なクラウド接続環境も確保した。これらの対応についても、TOKAIコミュニケーションズの回線サービスと導入支援サービスにより、ワンストップでスムーズな切替/移行を行うことができた。

お客様データセンターとAWS間はTOKAIコミュニケーションズが提供するBroadLine「リレーションEthernet」によるAWS接続サービスを利用して接続しています。AWS上では、Amazon WorkSpacesをはじめ、伝票システム、電子申請システム、受発注システム、派遣管理システム、連結会計システムなどが稼働しています。Amazon CloudWatchを利用した物理障害時のEC2自動復旧や、AWS Lambdaを利用したEC2定期バックアップ処理も設定しています。

今後の展望

運用負荷軽減と拡張性を実現、将来的な全面移行も検討

クラウド環境への移行により、同社では第一に要件として掲げた運用負荷の軽減を実現することができた。

「例えば今までのオンプレミス環境では、月1回程度、ストレージのHDDなどで障害が発生して、その度にディスク交換のためにデータセンターへ出向く必要がありました。それが今では、HDDの状態監視も含めて丸ごと無くなりました」。

またAWSの機能を利用することで、本番環境をコピーしてステージング環境を用意できるようになり、アプリケーションの改修作業なども“本番環境”で行うことができるようになった。

「以前はスペックダウンしたサーバをもう1台用意し、それを使って改修作業などを行っていました。手間もコストもかかります。それがAWSは時間課金制なので、短い時間なら本番と全く同じ環境をもう1つ用意して、作業が終わればすぐに消してしまえばいい。環境を作るのもWeb上での5~10分の作業だけで、物理マシンを調達して、環境を設定してという手間も一切不要です。柔軟な拡張性も獲得できました」。

そして永易氏は今後、3つめの要件として挙げた運用コストの最適化についても、具体的な数値として表れてくるだろうと話す。

「今はまだ人事管理や勤怠管理など他の業務システムがオンプレミス環境に残っていますが、今後はこれらも順次、AWSへの移行を検討していく予定です。最終的には全ての基幹システムをAWSで稼働させることを目標にしていますが、その際にはサーバコストだけでも以前の2~3割は削減できると考えています。これからもTOKAIコミュニケーションズには、よりスピーディでスムーズなクラウド移行を支援していただきたいです」。

働き方改革の推進

現在、働き方改革を実現するための取り組みとして、在宅勤務などのリモートワークをセキュアに実現するためにAmazon WorkSpacesの導入を進めており、2021年4月時点で4,000台以上のAmazon WorkSpacesを利用しています。

導入にあたり”データ漏洩対策としてデータをPCに残さないこと”、”いつでもどこからでも自分のデスクトップにアクセスが可能であること”、”運用負荷が増えないこと”などの要件を満たせるかの確認を行いながら、慎重に検討を行ってきました。

特に、運用負荷が増えることが無いよう各部門へのコストの振り替えをするためのAmazon WorkSpaces利用一覧収集(部門毎に利用料を集計)や、監査対応のためのAmazon WorkSpacesのログオン/ログオフ利用履歴の収集、Amazon WorkSpacesの障害を検知した場合の自動再起動など、運用を自動化するためのツールをTOKAIコミュニケーションズと開発して導入しています。

それらにより、セキュアなリモートワーク環境が構築でき、様々なワークスタイルに対応できるインフラの準備や、運用負荷軽減も徐々に効果が出始めています。永易氏は、「社内で運用中のAmazon WorkSpacesをさらに活用していくためのルール作りのアドバイスなども期待しています」と締めくくった。

  • 本導入事例の内容は制作時(2021年4月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。

Company Profile

トランスコスモス株式会社

設立
1985年6月18日
本社所在地
東京都渋谷区
事業内容
ビジネスプロセスアウトソーシング、コンタクトセンター、デジタルマーケティング 等
URL
https://www.trans-cosmos.co.jp/ 新規ウィンドウで開く
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