導入効果
- FSxNの導入で運用負荷の軽減と信頼性の向上
- データ圧縮・重複排除で30%のデータ容量削減とコスト最適化を実現
- 異なるリージョン間でのデータ複製で情報資産の保護と事業継続性を確保
導入背景
1949年設立の矢作建設工業は名古屋市に本社を置き、東海圏を中心に土木事業や建築事業さらに不動産事業を展開している総合建設会社であり、地域社会の発展と安全・安心な都市づくりに貢献し
ている。
同社は2024年オンプレミス環境で複数台運用していたファイルサーバーの課題を解決するために、そのうちの3台をAmazon FSx for NetApp ONTAP(以下、FSxN)に移行することを決定した。この移行プロジェクトを支援するITパートナーとして選択されたのが、AWSパートナープログラムの最上位レベルであるAWSプレミアティアサービスパートナーのTOKAIコミュニケーションズだ。
コーポレート本部 経営企画部
デジタル推進グループマネジャー
押田 明氏
コーポレート本部 経営企画部
デジタル推進グループ 係長
加藤 義人氏
課題
物理サーバーの課題を解決し、セキュリティ強化も図りたい
矢作建設工業では中期経営計画(2021~2025年)の一環として情報基盤の確立に取り組む中、オンプレミス環境のファイルサーバーで課題が顕在化していた。当時の状況について、コーポレート本部 経営企画部デジタル推進グループマネジャーの押田明氏は、次のように振り返る。 「各部門からの要望や容量不足によりサーバーを都度構築したため、ファイルサーバーが複数台存在し、ハードウェアの入れ替えや故障、データ容量の振り分けや容量枯渇への対処といった運用負荷が増大している状況でした。また最新のセキュリティパッチを適用することによりサーバーが停止してしまう恐れがありました。さらに障害発生時のファイル復元についても、12時間ごとにバックアップ取得となっており、1か月でデータが上書きされてしまうため、1か月より前のデータが復元できないという大きな課題がありました」(押田氏) そこで同社は2024年8月、まず3台のファイルサーバーをアマゾンウェブサービス(AWS)に移行するプロジェクトを立ち上げた。その際にプロジェクトの支 援を仰ぐI Tパートナー企業として選択したのが、TOKAIコミュニケーションズだ。
選定ポイント
先行プロジェクトを評価し、継続的なパートナーシップを選択
今回のファイルサーバー移行プロジェクトにおいて同社がTOKAIコミュニケーションズを選択した背景には、2023年夏から2024年初冬にかけて実施したWebサーバー・データベースサーバー移行プロジェクトでの実績があった。
「オンプレミス環境のWebサーバー・データベースサーバーを移行する際、複数のITベンダーからの提案を比較検討しました。AWSへの移行案のほか、他のクラウドサービスや新しいオンプレミス環境に移行する案もありましたが、私たちの要件にすべて応えてくださったのが、TOKAIコミュニケーションズでした」(押田氏)
同プロジェクトにおいて同社が最も重要視した要件は、データベースの移行に伴う既存システムへの影響調査とその修正対応だった。例えば、自社で開発したままブラックボックス化していたAccessやExcelベースのEUD(エンドユーザーディベロップメント)システム、MicrosoftのETLツールであるSSIS(SQLServer Integration Services)との連携などが対象となっていた。移行先の環境としてクラウドサービスを選択することは、同社にとって初めての本格的なクラウド利用となるため、複雑な依存関係の調査と修正対応できるベンダーであることが必須要件だった。
「私たちにはこれらを自社で対応するリソースがありませんでした。その際にTOKAIコミュニケーションズは影響調査から修正まで一貫して対応できると言っ
てくれました。AWSから直接紹介してもらったITベンダーでもあり、まさにAWSパートナープログラムの最上位レベルであるAWSプレミアティアサービスパート
ナーとしての対応力や実力を見せていただきました」(押田氏)
同社は、このWebサーバー・データベースサーバー移行プロジェクトと併せて、TOKAIコミュニケーションズの提供するAWS接続サービスも導入した。AWS接続サービスは、広域イーサネットや専用線などの閉域網サービス、あるいはVPNサービスを用いて、ユーザ企業の拠点やデータセンターとAWSの間をセキュアで高品質な専用ネットワークで接続するサービスだ。
「接続回線の開設も含め、Webサーバー・データベースサーバー移行プロジェクトが順調に進行したことで、TOKAIコミュニケーションズの実力や対応力を肌感覚で知ることができました。それが今回のファイルサーバー移行でも、TOKAIコミュニケーションズとの継続したパートナーシップにつながっています」(押田氏)
導入効果
データ圧縮・重複排除で30%のデータ容量削減を実現
2024年8月、同社はTOKAIコミュニケーションズのサポートのもと、ファイルサーバー3台をFSxNに移行するプロジェクトを開始した。移行対象のデータ容量は合計で約30TBだった。大規模なデータ移行を行う際には、事前にPoC(概念実証)を実施した。この点について、コーポレート本部 経営企画部 デジタル推進グループ 係長の加藤義人氏は、次のように説明する。
「PoCでは転送速度の確認と、データ転送中にエンドユーザーへの影響がないかを重点的に検証しました。またファイルサーバーを1台に統合する際、既存のサーバー名とフォルダ構成を同じにできるかという点も重要です。サーバー移行によってユーザーの利便性が低下する事態は避けたかったので、パス構成の継続性は必須の要件でした。このPoCのフェーズでは、TOKAIコミュニケーションズにPoCサーバーの構築と詳細な手順書の作成、さらにはアクセス権制御の提案など、多方面にわたりサポートしてもらいました」(加藤氏)
特に今回のプロジェクトでは、コスト最適化のために独自のアプローチも実施した。
「実際に使用しているデータは全体の数%程度だったため、可能な限りデータ圧縮と重複排除を行い、運用時のストレージコストを抑えたいという思いがありました。そこで本プロジェクトでは、移行用の一時的なFSxNを構築し、第一段階として、現ファイルサーバーから一時的なFSxNにデータを受け入れてデータ圧縮と重複排除を行いました。この時点で約30%のデータ容量削減を実現することができました。次に第二段階として、データ複製・レプリケーション機能であるSnapMirrorを利用し、一時的なFSxNからプライマリストレージ容量を抑えた本番環境のFSxNへデータをコピーしました。利用頻度の低いデータはキャパシティプールに保管されます。さらに東京リージョンに構築した本番環境のFSxNのデータは、やはりSnapMirrorを利用して、大阪リージョンのバックアップ用FSxNにコピーしました。こうした構成を採ることで、ランニングコストの最適化に加えて、東京リージョンに万一の障害が発生した場合にも対応できる事業継続性を確保することもできました」(加藤氏)
今後の展望
今後は外部SaaSとのAPI連携による自動化も視野に
FSxNへのファイルサーバー移行を実現したことで同社は4つの大きな効果獲得に成功した。1つ目は、信頼性と安全性の向上だ。
「異なるリージョンで稼働する2台のサーバー間でデータを複製することで、自社が保有する知的財産や情報資産を、安全・安心に保護できるようになったと思います」(押田氏)
2つ目は、拡張性と復元性の向上だ。必要に応じた記憶領域の柔軟な拡張と、データ復元性の大幅な改善が実現した。3つ目は、Windowsからの脱却だ。ストレージOSをONTAPに変更したことで、常に最新のセキュリティが適用される環境を実現できた。4つ目は、運用・保守性の向上だ。オンプレミス環境からクラウドに移行したことにより、ハードウェアの運用管理が不要になり、運用保守業務の負担が大幅に軽減できた。
同社は、ファイルサーバー2台の追加移行プロジェクトも完了しており、2025年9月現在で合計ファイルサーバー5台分のデータ(合計容量50TB)をAWS上で利用している。
今後の展望として、加藤氏は「Amazon API GatewayでAPIを作成して、外部SaaSと社内システムの連携に取り組みたいです」と語る。
「例えばエンドユーザーから特定の社内システムへのアクセス権付与申請が上がってきた際、現在は社内のヘルプデスクチームが手作業で1つ1つ、アクセス権を設定しています。その際にITサービス管理のベストプラクティスであるITIL(Information Technology Infrastructure Library)ベースのSaaSを利用し連携することで、申請承認後にはITILの手順にのっとり、自動でデータベースのアクセス権限テーブルの当該箇所を更新するということを実現したいと考えています。これによってさらなる運用負荷の軽減ができると思います」(加藤氏)
「TOKAIコミュニケーションズには、Webサーバー・データベースサーバーからファイルサーバーの移行まで一貫して高い技術力でサポートしてもらいました。単なるシステム構築だけでなく、私たちのビジネス要件を深く理解し、最適なソリューションを提案いただける心強いパートナーだと認識しています。今後も継続的なパートナーシップを期待しています」(押田氏)
- 本導入事例の内容は制作時(2025年11月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。
- その他記載されている会社名、製品名、サービス名、ロゴ等は各社の商標または登録商標です。
Company Profile
矢作建設工業株式会社
- 設立
- 1949年5月
- 所在地
- 愛知県名古屋市
- 事業内容
- 土木、建築、その他建設工事の企画、測量、設計、監理、施工およびコンサルティングの請負 他
- URL
- https://www.yahagi.co.jp/
