導入効果
- 本社とAWSを結ぶ接続回線を冗長化しセキュアかつ信頼性の高い接続環境を実現
- 業務システム群のAWS移行を見据えたAWS環境を構築
- 専用ポートプランの採用でVPC間の通信が容易に
導入背景
1958年2月に設立、同年12月に開局した東海テレビ放送は、フジテレビ系列の基幹局として愛知・岐阜・三重の東海広域圏を提供エリアとしたテレビジョン放送を行っている。番組制作ではドキュメンタリーをはじめ、全国ネットのドラマやスポーツ中継に強みを持ち、現在では番組作りを支える各種技術も積極的に取り入れている。局のキャラクターであるイッチーは、中京圏においては番組のチャンネル1が同局であることに由来して誕生したキャラクターである。2023年2月には、東名阪に跨っての導入はテレビ局としては初めてとなる全面IP化(SMPTE ST 2110)したAサブ(=副調整室)の運用を開始した。今後他のスタジオ・サブでもIP化を進めることで、スタジオ同士でカメラ映像などのリソース共有やリモートプロダクションへの取り組みが容易になる。
これまで同社は、アマゾン ウェブ サービス(AWS)上で様々なシステムを開発してきた。その経験をベースに、今後オンプレミス環境で稼働している業務システム群をAWSに移行することを計画し、その第一弾として選定したのがデータ放送の中間サーバだった。本社とAWS間のセキュアな接続を実現するために導入したのが、TOKAIコミュニケーションズの提供するAWS接続サービスだ。
課題
将来的な業務システム全面移行を見据えて
東海テレビ放送は、ドラマ・ドキュメンタリー・スポーツ中継をはじめ、ニュース・バラエティ・情報番組など数多くの番組制作に注力する一方、中京圏をけん引する基幹局として様々な技術を積極的に取り入れている。この点について、デジタルビジネス局 コンテンツ事業部 プロデューサーの日髙丈尚氏は、次のように説明する。「私たちの取り組みの特徴として、IP化に力を入れていることが挙げられます。その1つにリモートプロダクションという番組制作手法がありますが、これは国土の広い海外のテレビ局ではかなり普及している手法です。現在は、インターネット配信において積極的にリモートプロダクションに取り組み、ノウハウを蓄積しているところです。2023年2月にはAサブを全面IP化しましたが、こうしたIP化によって、番組制作の柔軟性や効率性を大きく向上させることができると考えています」(日髙氏)
様々な技術を取り入れて番組制作の効率化を進めている同社は、2010年代後半にはホスティングで利用していたコーポレートサイトの環境をAWSに移行した。これはAWSの「必要な時に、必要な分だけ、低価格で IT リソースを調達可能」という部分に魅力を感じたためだとデジタルビジネス局 コンテンツ事業部 兼 総務局システム部 主査の瀧祐作氏は語る。その後も同社はAWSを利用して様々なシステムを開発し、その経験を元に現在オンプレミス環境で稼働しているコンテンツ事業部が管理するシステム群をAWSへ全面移行することを計画している。この点について、瀧氏は次のように説明する。
「以前から、視聴者投稿用のシステムなど数多くの開発案件をAWS上で行ってきました。その中で、これだけAWSが使えるなら今あるオンプレミス環境のサーバ群もAWSに持っていくメリットがあると考えたのです。やはりオンプレミスでは、サーバコストに加えて、メンテナンスの手間や人件費がかかります。クラウド化すれば、それらも大幅に削減することが可能です。その可能性を探るにあたって移行対象システムとして選んだのが、データ放送の中間サーバでした」(瀧氏)
解決策
自社の要件に合致した接続構成が明確に
データ放送の中間サーバは、例えば気象情報の提供会社から送られてくる予報データなどをいったん集約し、テレビ局内にあるデータ放送用のデータ放出設備に中継する役割を担うものだ。
「AWS移行の第一弾としてデータ放送の中間サーバを選択しましたが、今後もAWSの利用が拡大していく可能性を考えています。そのため、自社オフィスとAWSとを接続する回線は、セキュアかつ可用性の高いものでなければなりません。そこで考えたのがAWS Direct Connectによる閉域網接続でした」(瀧氏)
その際に同社がAWSに相談して紹介を受けたネットワークベンダーがTOKAIコミュニケーションズだった。TOKAIコミュニケーションズは、東海テレビ放送が複数のAWSアカウントで複数のVPCへの接続があることを前提として、AWS Transit GatewayとAWSDirect Connect Gatewayを利用する専用ポートプランと、AWS Direct Connect Gatewayのみを活用する共用ポートプランの2つを提案した。
「私たちが最終的に選択したのは専用ポートプランでした。将来のシステム像を考えれば、AWS Transit Gatewayを介して、異なるシステムが稼働するVPC間でシームレスに通信ができることが必要です。TOKAIコミュニケーションズの2つの提案により、私たち自身も本当に必要なネットワーク構成を明確にできたと思います」(瀧氏)
導入効果
冗長化され信頼性の高いAWS接続環境を構築
専用ポートプランを採用した東海テレビ放送は、データ放送の中間サーバのAWS移行を2段階に分けて進めることにした。第一フェーズでは、2022年5月にAWS環境を構築し、本社とAWS Direct Connectとを接続するリレーションEthernetを導入した。続く第二フェーズでは、2024年6月に冗長化のために2本目のリレーションEthernetを導入した。
「第一フェーズは、AWS環境構築と事前検証用の接続回線導入が目的でした。そして第二フェーズでは、よりセキュアな接続環境を実現するために冗長化を図りました。TOKAIコミュニケーションズは、こうした私たちの進め方の意図を十分に汲んで、用途に合わせた帯域の提案をしてくれましたし、信頼できると感じました」(瀧氏)
さらに瀧氏は、今回の一連のプロジェクトにおけるTOKAIコミュニケーションズの提案力について、次のように評価する。
「以前からAWSを利用していたので、AWS DirectConnectを利用して閉域網接続を実現できることは知っていましたが、実際にAWS Direct Connectを利用するために必要なことについては情報収集が必要でした。私たちのビジョンを理解してそれに沿った形で将来を見据えて提案してくれたのは、TOKAIコミュニケーションズだけでした。価格面もさることながら、将来の構想まで加味して親身になって提案をしてくれたことが最終的にTOKAIコミュニケーションズを選んだ理由です」(瀧氏)
今後の展望
今後のシステム移行でもサポートに期待
AWS接続回線の冗長化を実現した同社は、今後コンテンツマネジメントシステムを搭載したサーバをAWSに移行する予定だ。
「今後は、将来に備えてAWSのマルチアカウント環境を自動でセットアップできるAWS Control Towerも導入する予定です。これからもオンプレミスのシステムをリプレイスするタイミングを迎えた際にはAWSへの移行を順次検討していくことになると思います。その際には、改めてTOKAIコミュニケーションズに相談させていただく場面が出てくるかもしれません。引き続き、心強いサポートをお願いしたいと思います」(瀧氏)
「今回TOKAIコミュニケーションズには、ネットワークベンダーとしてお力添えをいただきましたが、今後はAWS全体の相談先としてぜひ協力いただきたいと考えています。私たちは引き続き業務システムのAWS移行を進めていきますが、これからもTOKAIコミュニケーションズの豊富な知見と提案力に期待しています」(日髙氏)
- 本導入事例の内容は制作時(2024年6月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。
- その他記載されている会社名、製品名、サービス名、ロゴ等は各社の商標または登録商標です。
Company Profile
東海テレビ放送株式会社
- 設立
- 1958年2月
- 所在地
- 愛知県名古屋市東区
- 事業内容
- テレビジョン放送、イベントプロデュース 他
- URL
- https://www.tokai-tv.com/