AWS導入事例 ラジオへの興味喚起を目的にAmazon Alexaの活用を検討。TOKAIコミュニケーションズとの協働で、ラジオパーソナリティと“会話”できるAmazon Alexaスキルを開発

  • 九州朝日放送株式会社様
  • 放送業
九州朝日放送 Kyushu Asahi Broadcasting Co.,Ltd.

導入効果

  • Alexaスキルの企画から公開後の運用改善までフルサポート
  • スムーズかつ豊富なパターンで会話が可能なAlexaスキルを開発
  • インターネットからラジオ番組へのユーザ誘導にも一定の効果

導入背景

ラジオコンテンツに興味を向けてもらうため「Amazon Alexa」の活用を検討

九州・山口・沖縄の各エリアにブロックネット番組を放送し、報道ドキュメンタリーやスポーツ中継など全国ネットの番組も制作する九州朝日放送株式会社は、地域文化の担い手として、さまざまなテレビ・ラジオ番組やイベントを地域住民に届けている。同社は1953年8月の設立以来、テレビやラジオの番組作りに注力してきたが、一方で近年はインターネットに加えてスマートフォンやSNSの利用が当たり前になり、若者を中心としたテレビ離れ、ラジオ離れが顕著になってきている。そこで同社はインターネットを第3のメディアとして位置付け、テレビ・ラジオ・インターネットの3本柱でクロスメディア展開を図ることで、若者にもテレビ・ラジオのコンテンツに興味を向けてもらうことを考えた。その際に着目したのが、Amazonが提供するクラウドベースの音声サービス「Amazon Alexa」だ。同社はTOKAIコミュニケーションズをパートナーとして、Alexa端末を介してユーザが放送時間外でもラジオパーソナリティと“インタラクティブな会話”を体験できるAlexaスキルを開発した。

九州朝日放送株式会社
総合編成局 メディア戦略部
副部長
水口 剛 氏

課題

若者の興味喚起を目的に、番組連動のAlexaスキル開発を企画

九州朝日放送株式会社は、設立以来さまざまなテレビやラジオの番組作りに注力してきたが、インターネット世代の若者は、テレビ・ラジオの番組に大きな興味を示さなくなってきている。こうした状況に危機感を抱いていたのが、総合編成局 メディア戦略部 副部長の水口剛氏だ。この点について、水口氏は次のように説明する。

「テレビやラジオは中高齢者の皆様には親しみの深いメディアですが、放送局としては、やはり若い世代にも振り向いていただきたい。そこで若い人たちには、インターネットでファーストコンタクトを図り、そこからテレビやラジオのコンテンツにも目を向けていただくというアプローチ方法を考えました」(水口氏)。

その際に水口氏の頭に浮かんだのが“Alexaスキルを開発して、新しいことができないか”ということだった。Alexaは、Amazonが提供するクラウドベースの音声サービスで、Alexaスキルとは、Amazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」をはじめとするAlexa搭載端末で利用できる各種サービスのことだ。ユーザは、Amazon.co.jpサイトやAlexaアプリのAlexaスキルストアから使いたいスキルを有効化することで利用できる。

水口氏は、新たなスキルを開発して流行に敏感な若い世代に使ってもらうことで、その体験をきっかけにテレビやラジオのコンテンツに興味を向けてもらえないかと考えたのだ。

九州朝日放送株式会社
ラジオ局 編成制作部
担当部長
佐藤 雅昭 氏

解決策

Alexaスキルのアイデアを社内公募、パーソナリティと“会話”できる企画に決定

そこで水口氏は、まず自身でAmazon主催のハンズオンセミナーに参加し、実際にAlexaスキルを開発するプロセスを体験してみたという。

「当初私の頭の中にあったのは、2018年4月の放送開始で、地元のニュースや暮らしに役立つ情報を届けるテレビ番組『シリタカ!』(=福岡弁で「知りたい」の意味)のPR企画としてスキルを利用するというアイデアでした」(水口氏)。

その後、“Alexaスキルを使って何かやりたい”といった社内の機運が高まり、インターネットを使ったビジネスを検討するために2018年4月に発足した社内プロジェクトにおいて、同社で初めてとなるスキルのアイデアを社内から募集した。

その中のアイデアから生まれたのが、KBCラジオ「居酒屋清子」(毎週月曜夜7~10時)との連動企画で、ユーザがラジオ番組の放送時間外でも、スマートスピーカーを介してパーソナリティである清子女将と“インタラクティブな会話”を楽しむことができるというスキルだ。正式名称は「居酒屋清子 ~KBC長浜横丁~」という。

このスキルの提案元となったラジオ局 編成制作部 担当部長の佐藤雅昭氏は、企画の背景について、次のように説明する。

「アイデア出しをする際には、単純に“こんなものがあったら面白いよね”というのが発想の原点です。ただ当初はキッチンタイマーぐらいのイメージで、ユーザが“3分経ったら教えてね”とスピーカーに話しかけておけば、清子女将が“3分経ったわよ”と教えてくれるというものだったのですが、TOKAIコミュニケーションズにも入ってもらい、ブレインストーミングをしていく中で、アイデアがどんどん広がっていきました」(佐藤氏)。

KBCラジオ 居酒屋清子の清子女将と話せるAIスピーカー Amazonの「Alexa Skill(アレクサ・スキル)」に居酒屋清子が登場! お手持ちのAmazon Echoなどで「居酒屋清子」のスキルを有効にすると、清子女将と会話をしているような、不思議な世界を楽しむことができます。 ※「スキル」とはAmazon Echoやその他のAlexa搭載デバイスを通じて追加できる機能です。スキルを有効にすることで、Alexaの機能はさらに広がります。 KCBラジオ 居酒屋清子 毎週月曜 19:0~22:00生放送

選定ポイント

TOKAIコミュニケーションズと共にアイデアをブラッシュアップ

この「居酒屋清子 ~KBC長浜横丁~」の企画を形にしていくにあたり、ハンズオンセミナーで実際の開発プロセスに触れていた水口氏は、「会社としてリリースするAlexaスキルを開発するためには、やはり専門的なノウハウを持ったパートナーの力を借りなければ難しいと感じていました」と話す。

「それでAWS(アマゾン ウェブ サービス)に相談して推薦してもらったパートナーが、TOKAIコミュニケーションズでした。2018年6月頃に初回の打ち合わせを行い、ユーザとパーソナリティが会話できるスキルを作りたい、どんなことができますか、という相談をしました」(水口氏)。

TOKAIコミュニケーションズでは、AWSの導入から運用にいたるまでさまざまなソリューションを提供しているが、その一環としてAmazon Alexaの対応スキル開発支援も行っており、スキルに関するコンサルティングから開発、導入、さらにはスキル導入時に必要となるAWS上の構築・運用やAPI連携まで幅広く支援している。

「そこでTOKAIコミュニケーションズから“それならこんな会話パターンでどうでしょうか”という提案をもらいました。その後も含めて合計3回打ち合わせをしましたが、それはブレインストーミングも兼ねたもので、技術担当者の方も参加してくれました。その場で“それはできます”とか、“それはこうしたほうがユーザにはスムーズに聞こえると思います”といったアドバイスをもらい、アイデアをブラッシュアップしていくことができました」(水口氏)。

さらに開発を進めていく中で、Amazonからも他案件の事例を基に単調になりにくい会話の構成や、ユーザにとって使いやすいスキルにするためのポイントについてアドバイスをもらっていた。

「居酒屋清子 ~KBC長浜横丁~」の特長の一つは、その会話パターンの多さだ。「乾杯」だけで10パターン、その他の会話も合計200パターン用意しており、利用者を飽きさせないことを意識した。また、利用回数が増えることによって「常連」となることができるのも、このスキルに愛着を持つことのできる要素の一つといえるだろう。

「当初は複雑な会話パターンを想定していて、実現が難しい状況でした。しかしTOKAIコミュニケーションズがその会話パターンを整理して提案してくれたため、現在のような会話のスタイルを確立できました。豊富なノウハウを持つパートナーの存在は本当に心強かったですね」(水口氏)。

今後の展望

今後もスキル開発にはさまざまな専門家のノウハウを借りたい

2018年8月27日にリリースした「居酒屋清子 ~KBC長浜横丁~」だが、SNS上では“面白く使っています”といったコメントも投稿されており、ユーザの反応も上々だ。

「今回開発したAlexaスキルは、ラジオ番組を聞いていない人たちも使ってくださっているようで、実際に今までラジオは聞いていなかったが、スキルをきっかけに聞いてみたというお声もいただきました。その意味では当初狙っていたネットからテレビ・ラジオへの誘導という目的も、まずは達成できたといえます」(佐藤氏)。

そして今後は、他のテレビ・ラジオ番組でも、新たなスキルを開発して番組と連動させていくという方向性が考えられるが、この点について佐藤氏は、個々の番組に合わせた検討が必要だと語る。

「単純な横展開はできないと考えています。それというのも、今回リリースしたスキルの起点となった居酒屋清子という番組は、架空の居酒屋を設定し、清子女将がパーソナリティを務めるという演出が徹底している番組だからです。そういう世界観、空気感に、仕事から帰ってきたビジネスマンがスマートスピーカーを介して清子女将と会話できるというスキルが非常にマッチしたということです。個々の番組の特徴をきちんと踏まえた上で、それにフィットするスキルを考える必要があります」(佐藤氏)。

同社では佐藤氏の言う番組個々の特徴を十分に精査した上で、今後もさまざまなスキルを開発して、引き続き新たな視聴者の獲得を目指していきたい考えだ。

「先にお話しした『シリタカ!』との連動企画も、来年以降に形を変えるなどして実現していきたいと考えています。その際にはまた、TOKAIコミュニケーションズにも力添えをお願いしたいと思います」(水口氏)。

  • 本導入事例の内容は制作時(2019年1月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。

Company Profile

九州朝日放送株式会社

設立
1953年8月21日
本社所在地
福岡市中央区
事業内容
ラジオ・テレビの商業放送
URL
http://www.kbc.co.jp/ 新規ウィンドウで開く
九州朝日放送 Kyushu Asahi Broadcasting Co.,Ltd.

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