東建コーポレーション株式会社では、賃貸物件の問い合わせ数増加を目指す中で、運営しているWebサイトの運用管理負荷の軽減と表示速度の改善が課題となっていました。TOKAIコミュニケーションズのAWSソリューションを活用することで、CodePipline+CodeDeployによるCI/CDの実装、当社運用管理サービスの利用によるCI/CDの改善による柔軟なシステム基盤の構築およびコンテンツDNSなどの負荷分散を利用したサイトの速度改善を実現しました。
お客様の課題と解決策
課題①
Webシステムのメンテナンス効率を向上させたい
- 当時のWebシステムは、度重なる仕様変更によりデータベースの肥大化、ソースコードの複雑化が発生しており、メンテナンス効率を欠いていた
- システムの変化やサーバ負荷の状態を把握し、よりスムーズに開発できるようなシステム基盤を構築したい
解決策
24時間365日の運用代行によるリソース状況の把握
- AWSリソースの使用状況/NW負荷状況の変化や障害の有無について24時間365日監視を行い、月次でシステムの稼働状況および改善点の有無を報告
- DirectConnectは当社にて継続的なモニタリングを実施
CodePipelineやCodeDeployの利用によるリリース時の事故リスク軽減
- CodePipeline、CodeDeployを利用することで外部サービス連携、リリースフロー自動化、およびWebサーバへのアプリケーションデプロイ自動化を実現
- 何度でも切り戻し・リリース可能な本番環境の構築
- ステージング環境と本番環境の差異をなくすことでリリース作業による事故を防止
- リリース作業工数の削減
環境ごとに異なるAPI接続先などの情報をセキュアに取得できる仕組みの構築
- Secrets Managerの利用により、アプリケーションのソースコードを変更することなくAPI接続先などのシークレット情報をセキュアに取得可能
マルチアカウントでのVPC連携
- シームレスでセキュアな開発を行えるよう、環境毎にアカウントを分け、それぞれの環境をTransitGatewayにて接続
オンプレミス環境との連携
- オンプレミス環境と連携するため、DirectConnectにてお客様拠点と接続
将来の拡張性を考慮した環境追加時のフロー標準化と自動化
- VPC構築はCloudFormationにて実施、将来の変更やネットワーク変更について対応できるように標準化
課題②
Webサイトの表示速度が遅いため、レスポンスを改善したい
- Webサイトの詳細ページおよびファーストビューの読み込み時間を短縮したい
解決策
AWSマネージドサービスの活用によりサイト全体の読み込み速度改善を実現
- リクエストを処理するためCloudFrontによるエッジネットワークを実装
- Lambda@edgeによるURL振り分けを実装し、EC2への負荷を低減
- CloudFront/ElastiCacheによるキャッシュ機能、Elastic Load Barancingによる高負荷時の負荷分散機能を利用して、想定を超えたリクエスト数が発生した場合でもWebサイトが要件通り応答できる仕組みを構築
- 物件情報などの膨大なデータへのアクセス負荷を分散できるDB構築のためAmazon Auroraを採用するとともに、データ量に合わせたプラットフォームに移行し、高負荷時でもお客様が要求するレベルの応答が可能な環境を構築
- 物件情報をElasticSearchによる全文検索DBに移行して情報取得のREST API化を実施
アーキテクチャ図
利用リソース
分類 | 説明 |
---|---|
Web Server | Amazon EC2 |
DataBase | Amazon Aurora(MySQL),Amazon Elasticsearch Service |
ObjectStorage | Amazon S3 |
Serverless | AWS Lambda |
LoadBalancer | Elastic Load Balancing |
CDN | Amazon CloudFront |
DevOps | AWS CodePipeline,AWS CodeDeploy,AWS Secrets Manager |
Operations | Amazon CloudWatch,AWS Config,AWS Trusted Advisor |
サードパーティソリューション
分類 | 説明 |
---|---|
DeepSecurity as a Service | パブリッククラウドに対応したサーバー向けクラウド型セキュリティーサービス
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導入後の効果
1. サイト公開時の人的ミス発生のリスクが最小限に
- これまでBlue/Greenデプロイという考え方をしておらず、公開時の作業に高いリスクが存在していたが、システムリニューアルにより公開時の作業リスクを払拭できた
- 開発からテスト、デリバリまでの工程を自動化することでサーバを意識しなくても開発できる環境が実現
- 人的ミスもなくなり、バグなどの不具合も素早く発見できるようになった
2. Webシステムのメンテナンス効率が向上
- リソースの管理をしながらデプロイが行える環境になったことで、プログラム改修速度が向上
3. Webサイトの表示速度が大幅に改善
- これまでページによっては読み込みに数十秒かかっていたが、サイト全体で1秒以内に改善することができた
お客様の声
東建コーポレーション株式会社 社長室/Web制作部 Webエンジニア課
藤井 渉 様
- 賃貸物件検索を主としたWebサイトを自社のオンプレミス環境で稼働させていましたが、メンテナンスの効率化とWebサイトの表示速度改善を目的としてAWSに移行することを計画しました。主に柔軟なアプリケーションの基盤の構築とWebサイト全体の速度改善を視野にAWSにある豊富なサービスを組み合わせることで事業の競争力向上を実現しました。
- ITパートナー候補として、当初は十数社の企業にお声がけし、各社が推進したクラウドサービスと提案内容から検討しました。中でもAWSの豊富な構築実績から培った知見とノウハウに魅力を感じたためTOKAIコミュニケーションズに決定しました。背景としては、環境構築を支援するパートナーとして信頼できる提案であったこと、また、エンジニアとして私自身が調査し検討した設計内容と思想が近かったことからTOKAIコミュニケーションズを高く評価しました。
- 従来のオンプレミス環境では、最大負荷時に合わせてハードウェアを購入しなければなりません。賃貸物件検索Webサイトでは、アクセス数の予測が難しく時には想定以上のアクセスが発生することもありました。AWSは、アクセス状況に合わせてスケールイン・アウトの柔軟な対応が可能であるところが魅力のひとつでした。
- 旧Webサイトでは、手作業で更新を行っていましたが、手順が多いため作業時のヒューマンエラーが発生していました。また、バックアップ実施に関する教育コスト、運用負荷もかかっていました。今回「CodePipeline」や「CodeDeploy」のCI/CDを採用し、開発~テスト~デリバリまで自動化することで、開発者がサーバを意識せず簡単に利用できる環境を実現するとともに、ヒューマンエラーも一切なくなり、バグなどの不具合も早期に発見できるようになったことでAWS導入の効果を感じています。
- 賃貸物件情報が格納されているデータベースは相当なボリュームがあり、Webサイトで検索する際の速度が遅いという課題がありました。今回、Amazon Elasticsearch Serviceという全文検索システムを導入し情報取得のREST API化を実現しましたが、データの同期・取得方法やサービスの使い方をTOKAIコミュニケーションズのエンジニアにフォローいただき、ノウハウをインプットできたことで非常に助かりました。
- 全文検索システムと合わせて、Amazon CloudFrontを活用することで処理速度や表示速度が非常に早くなりました。サーバへの負荷も軽減できたため、当初想定していたよりも少ないサーバ台数・インスタンス数で稼働しています。その結果、Webサイト表示速度は数十秒程度から1秒以内に改善することができ、お客様から『大変使いやすくなった』と喜びの声をいただきました。
- 運用面では、TOKAIコミュニケーションズに一括して任せることにより、本来の開発業務に注力できるようになりました。今後の課題として、弊社の担当者が誰でも簡単に運用保守ができるような改善を行っていくことが挙げられます。弊社内での教育も含め体制を強化する上でも、TOKAIコミュニケーションズからは更なるノウハウや知見を提供いただき、メンバー間で共有化を図りたいと考えています。
- ※ (更新:2023年5月)事例公開後、一部の構成等は変更されている可能性があることをご了承ください。
Company Profile
東建コーポレーション株式会社
- 設立
- 1976年7月
- 本部所在地
- 愛知県名古屋市中区
- 事業内容
- 一般・法人向けリース建築事業、賃貸物件仲介事業、リフォーム事業など
- URL
- https://www.token.co.jp/