最終更新日:2025.07.16

AWSの見積もり方法|料金モデルケースとツールの使い方を解説

AWSの見積もり方法|料金モデルケースとツールの使い方を解説

AWSの利用料金は、使った分だけ支払う「従量課金制」が基本のため、従来の買い切り型のIT製品のように、決まった価格表が存在しません。この料金体系の柔軟さが、逆に見積もりを難しくさせる要因となっています。

この記事では、そんなAWSの見積もりに悩む方のために、

  • 代表的な構成の料金モデルケース
  • 公式ツール「AWS Pricing Calculator」の具体的な使い方
  • 見積もりで見落としがちなチェックポイント
をステップバイステップで分かりやすく解説します。

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AWSの料金体系は?

まずは、AWSの基本の料金体系からご紹介します。

AWSの料金体系について

AWSは、基本的に従量課金制となっています。利用したサービスの量に応じて課金される仕組みで、月々の請求額は利用状況によって変動します。また、基本的には長期契約や最低利用量の縛りがないため、必要なときに必要なだけサービスを利用でき、コストを最適化しやすいのが特長です。利用を停止する場合も追加料金や解約金が発生しないため、変化するビジネスニーズに柔軟に対応できます。さらに、AWSには利用量が多ければ多いほど料金が安くなる、「ボリュームディスカウント」制度が用意されています。AWSのコスト削減を検討する際には、ボリュームディスカウントを活用することで、より費用を抑えることができるでしょう。

なお、料金が変動する基準は、利用するサービスによって異なります。ここでは代表的な2つのサービスの料金体系を紹介します。

Amazon EC2の料金体系

Amazon EC2(以降EC2)の場合は、インスタンスのタイプ、サーバー台数、ストレージの使用量(GB)、EC2から送信されたデータ転送量(GB)によって、1ヶ月あたりの料金が変動します。

Amazon S3の料金体系

Amazon S3(以降S3)の場合は、ストレージの使用量(GB)、S3から送信されたデータ転送量(GB)、読み込み回数(GETやSELECTなどのリクエスト数)、読み込み回数(PUTやCOPYなどのリクエスト数)によって、毎月の料金が変動します。

モデルケースでAWS料金の相場観を掴もう

次に、モデルケースごとのAWS料金例をご紹介します。

  • ここでご紹介する料金例は、本記事執筆時点で算出されたものになります。今後、AWSのサービス価格改定や為替変動などにより、料金が変わる可能性があることをご了承ください。

ケース1:Webサイト構築

使用するサービス:Amazon LightSail

1つ目のケースは、Amazon LightSail(以降LightSail)を利用して、Webサイトを構築する想定です。LightSailを利用すると、数クリックでシンプルなWebサイトをAWS上に構築できます。

概算料金

月額合計料金:3.5 USD

前提

  • Webページのデータ量は、7MBで構成(動画などを含まないシンプルなページ)
  • 1日に3,000回、閲覧があった
  • 想定プランの場合、月のデータ転送量が1TBまでは無料
サービス名 料金項目 使用量 単価(USD)
Amazon LightSail 仮想サーバー 1台×24時間×30.5日 3.43/月
通信料
(データ転送量)
7MB×3000PV/日×30.5日 -
月額合計料金 3.5USD

この概算シミュレーションの詳しい構成図は、以下のページから確認できます。

ウェブサイトを AWS クラウドで構築(入門編)|AWS 新規ウィンドウで開く

ケース2:Windowsベースのファイルサーバー構築

使用するサービス:Amazon EC2 / Amazon EBS / Amazon VPC

EC2で仮想サーバーを利用し、Amazon EBS(以降EBS)でファイルデータを保存することを想定した構成です。Amazon VPC(以降VPC)で安全な接続環境を確保します。AWS上にファイルサーバーを構築すれば、運用コストを抑えられるといったメリットがあります。

概算料金

月額合計料金:472.67 USD

前提

  • 2TBのデータを保存する見込み
  • 1か月を730時間と想定
サービス名 料金項目 使用量 単価(USD) 料金(USD)
Amazon EC2 コンピューティング
(Windowsなど)
730時間 - 148.62
ストレージ容量 30GB - 2.88
Amazon EBS ストレージ容量 2TB - 110.59
スナップショット容量 3TB - 152.754
Amazon VPC Site-to-Site VPN 730時間 - 35.04
データ転送量 200GB - 22.8
月額合計料金 472.67USD

この概算シミュレーションの詳しい構成図は、以下のページから確認できます。

Windows ファイルサーバーを AWS クラウドで構築 (入門編)|AWS 新規ウィンドウで開く

ケース3:Windowsベースの社内業務アプリのクラウド移行

使用するサービス:Amazon EC2 / Amazon EBS / Amazon RDS for SQL Server / ELB / Amazon VPN

構成としては、EC2で仮想サーバーを利用し、EBSでブロックストレージを利用。Amazon RDS for SQL Server(以降SQL Server)を社内業務アプリのデータベースとして利用し、ELBで負荷分散を行う想定です。VPNによってオンプレミスとクラウドを安全に接続します。

概算料金

月額合計料金:1027.68USD

前提

  • Windowsのライセンス費用はEC2料金に含まれる
  • 1か月を730時間と想定
  • ストレージとして、EC2とEBSを組み合わせて利用
サービス名 料金項目 使用量 単価(USD) 料金(USD)
Amazon EC2/Amazon EBS m5.large
2vCPU/8Gメモリ
730時間 0.216USD/時間 157.68
汎用SSDボリューム 200GB 0.12USD/GB 24
スナップショット 200GB 0.05USD/GB 10
Amazon RDS for SQL Server インスタンス
db.r5.large
2vCPU/16Gメモリ
730時間 1.05USD/時間 766.50
データベースストレージ 100GB 0.138USD/GB 13.80
バックアップストレージ 100GB - -
ELB 1時間あたりの料金 730時間 0.0243USD/時間 17.74
ロードバランサーキャパシティーユニット 0.5LCU ×730時間 0.008USD/時間 2.92
Amazon VPN 接続ごとの時間料金 730時間 0.048USD/時間 35.04
月額合計料金 1027.68USD

この概算シミュレーションの詳しい構成図は、以下のページから確認できます。

オンプレミスサーバー上の社内業務アプリを AWS クラウドに移行(入門編)|AWS 新規ウィンドウで開く

ケース4:社内データ分析

使用するサービス:Amazon S3 / Amazon QuickSight(Enterprise Edition)

S3に、過去の売上データや顧客情報などを保存し、Amazon QuickSight(以降QuickSight)でデータ分析やレポート作成を行う構成です。QuickSightを使うことで、蓄積データの分析レポートを簡単に作成できます。

概算料金

月額合計料金:30.00USD

前提

  • QuickSightは、年間契約で月額18USD/ユーザーとなる
  • 料金表の小数点第三位以下は切り捨て
サービス名 料金項目 使用量 単価(USD) 料金(USD)
Amazon S3 ストレージ 10GB 0.025USD/GB 0.25
PUT 300リクエスト 0.0047USD/1000リクエスト 0
GET 300リクエスト 0.00037USD/1000リクエスト 0
Amazon QuickSight 作成者 1ユーザー 18USD/ユーザー 18
閲覧者 4ユーザー 3USD/セッション/ユーザー 12
SPICE 10GB 無料枠内0.00/GB 0
月額合計料金 30USD

この概算シミュレーションの詳しい構成図は、こちらです。

データ分析基盤を AWS クラウドで構築(入門編)|AWS 新規ウィンドウで開く

AWSの料金の見積もり方法

ここまで紹介した通り、AWSの料金体系はサービスによって異なります。AWSでは、手軽に料金を把握できる料金計算ツール「AWS Pricing Calculator」を提供しています。

AWS Pricing Calculatorの基本的な使い方

ここでは、先ほどの「Webサイト構築」を例に、基本的な使い方を解説します。

AWS Pricing Calculatorにアクセス

まずは公式サイトにアクセスし、「見積りを作成」をクリックします。

AWS Pricing Calculator|AWS 新規ウィンドウで開く

AWS Pricing Calculatorのトップページ

リージョンを選択

利用する地域(リージョン)を選択します。日本国内での利用であれば、通常は「アジアパシフィック (東京)」(ap-northeast-1)を選びます。リージョンによって料金が異なるため、必ず最初に設定しましょう。

リージョン選択画面

サービスを追加

検索バーに見積もりたいサービス名(例: EC2)を入力し、「設定」をクリックします。

サービス検索バーでEC2を検索

サービスの詳細設定を入力

ここが最も重要な部分です。EC2の場合、以下のような項目を入力します。

  • インスタンスタイプ:サーバーのスペック(例: t3.medium)

    EC2の詳細設定入力画面


  • 支払いオプション:コストに大きく影響します(例: Savings Plans 1年 全額前払い)

    EC2の詳細設定入力画面


  • Amazon EBS: サーバーに接続するディスクの容量(例: 100GB)

    EC2の詳細設定入力画面


見積りを確認

必要なサービスを全て追加すると、画面下部やサマリー画面で合計金額(月額、年額など)が自動計算されます。この結果を保存したり、共有したりすることも可能です。

見積もり結果を表示

AWS料金の見積方法とAWS Pricing Calculatorの使い方|TOKAIコミュニケーションズ

AWSの料金を見直したいと思ったら

AWSを運用していて、コストがかかり過ぎていると感じる方も少なくないでしょう。AWSの料金が高いと感じたら、コストを削減できないか構成やプランを見直してみましょう。

AWS料金の見直し、コストを削減するためには

AWSは、ユーザビリティを高めるため、コスト管理やコスト最適化に関するサービスを多く提供しています。コストを削減するためにはこれらのサービスを活用して、現状「どれくらいの費用がかかっているのか」を把握し、コストを削減できる余地がないか検証していくことが重要です。

たとえば「AWS Cost Explorer」は、AWSが提供する代表的なコスト管理サービスのひとつです。AWS Cost Explorerについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事をお読みください。

AWS Cost ExplorerでAWS料金の見直しをしよう! 成功企業の活用事例を紹介|TOKAIコミュニケーションズ

またAWSには、長期利用を前提とした割引制度「リザーブドインスタンス(RI)」や「Saving Plans」といった仕組みも用意されています。これらのサービスを活用することで、さらに料金を節約できるでしょう。

TOKAIコミュニケーションズが、貴社に最適な構成でお見積りします

AWSの見積もりにおける、「最適な構成が分からない」「項目が多くて見落としが怖い」「コストをなるべく抑えたい」といった課題はすべて、AWSの専門家である私たちにご相談いただくことで解決できます。

TOKAIコミュニケーションズは、長年の実績を持つAWS プレミアティア サービスパートナーです。お客様のビジネス要件やご予算を丁寧にヒアリングし、数多くの導入実績から得た知見をもとに、貴社に最適な構成での詳細なお見積りを【無料】で作成いたします。

単なる料金計算だけでなく、

  • Savings Plansなどを活用したコスト最適化のご提案
  • 将来の拡張性まで考慮したアーキテクチャ設計
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といった、プロならではの付加価値も合わせてご提供します。

複雑な見積もり作業は、私たちにお任せください。まずはお気軽にお問い合わせいただき、貴社のお考えをお聞かせください。

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