2024.03.08

AWS Cost ExplorerでAWS料金の見直しをしよう! 成功企業の活用事例を紹介

AWSのコスト削減に役立つ「AWS Cost Explorer」(以下Cost Explorer)。AWSを利用する際は、うまく活用したいサービスのひとつです。しかし、「活用法がわからない」「Cost Explorerの機能を最大限活用できていない」という方も多いのではないでしょうか。Cost Explorerを有効利用すれば、コストや使用量の可視化が進み、コスト削減につなげることができます。

そこで今回の記事では、Cost Explorerの機能やAWSのコスト管理関連のサービスについて解説しつつ、Cost Explorerを使ってコスト削減に成功した企業の活用事例などをご紹介します。経営に大きなインパクトを与えるコスト管理の参考材料として、ぜひお役立てください。

AWS Cost Explorerとは?

はじめに、Cost Explorerの基本的な概要や料金、AWSが提供するコスト管理サービスについてご紹介します。

Cost Explorerとは

Cost Explorerは、ユーザーのコスト最適化を促すためにAWSが提供しているコスト管理サービスのひとつで、AWSの使用料金や使用状況などを可視化できるサービスです。特定のアカウントの料金や使用量のパターンを分析できるため、節約できる余地のあるポイントを特定できるほか、さまざまなコスト効率の改善案を考えるのに役立ちます。

利用は基本的に無料で、AWSコスト管理コンソールにログインすれば、すぐに利用できます。ただし、APIを使う場合や、時間単位でコストや使用量を取得したい場合には、別途料金が発生します。

Cost Explorerを有効化する具体的な手順や、円建てによる支払い設定方法などを知りたい方は、以下の記事もあわご参照ください。

プロが教えるAWSアカウント作成後に行うべき設定 ~コスト管理編~ | TOKAIコミュニケーションズ AWSソリューション

AWS Billing and Cost Managementとは

AWS Billing and Cost Managementとは、AWSが提供しているコストの分析や管理を行うためのサービス群のことです。これらのサービスは、コストの可視化や余分な支出の削減に役立ちます。AWS Billing and Cost Managementでは、Cost Explorerの他にも、以下のようなサービスが提供されています。

AWS Budgets

AWS Budgetsは、AWSのコストと使用量を追跡・モニタリングできるサービスです。設定した予算をオーバーしそうになったときに、通知を飛ばすといった使い方ができます。また、割引や返金、税金などの料金を含めたり、除外したりといった設定も可能です。

AWS Cost and Usage Report

AWS Cost and Usage Reportとは、AWSのコストにまつわる膨大なデータをまとめた、詳しいレポートのことです。このサービスでは、アカウントの推定請求額をまとめた請求レポートを発行できます。

AWS Cost Anomaly Detection

AWS Cost Anomaly Detectionは、異常な支出の発生を検知できるサービスです。異常を検出した際にアラート通知を受け取れるので、予想外のコスト発生を防ぐことができます。

Saving Plans

Saving Plansは、長期契約をすると料金がお得になる料金モデルです。1年または3年間、一定の使用量を保った契約をすると、AWS EC2やAWS Lambdaなどが通常より低価格で使えます。

Cost Explorerとこれらのサービスを併用することで、AWSのコスト管理がさらにやりやすくなるでしょう。

AWS Cost Explorerでできること

次に、Cost Explorerの機能についてご紹介します。以下の機能を活用しながら、AWSのコストを最適化しましょう。

フィルタリング機能を活用した、さまざまな観点からのコストやデータの使用量のチェック

Cost Explorerのフィルタリング機能を使うと、コストや使用量のデータをさまざまな観点から確認できます。たとえば、リージョンやAZごと、料金タイプやインスタントタイプごとなどで絞り込めば、コスト削減を検討する場面やリソース使用効率を分析する場面などで役立つでしょう。また、選択フィルターすべてに共通したデータのグラフ表記を行うことも可能です。コストと使用量のグラフは、レポートとして保存・共有・出力できるため、チーム内でのコミュニケーションにも重宝するでしょう。

将来の予測

Cost Explorerは、最大12カ月間のコストと使用量の予測を立てることもできます。過去の使用状況に基づいて「予測期間中に、AWSサービスをどのくらい使用するか」を推定できるので、予想された情報をベースに請求額を見積もったり、アラーム設定や予算設定を行ったりするときに役立つでしょう。

APIを使えば他ツールとの連携も

APIを使えば、他のツールとの連携も可能です。たとえば、自社のアプリケーションにコストや使用量などの情報を埋め込んだり、データとしてCSVやJSON形式で出力したりといった使い方ができます。他にも、コストが予算を超過した際にメールやSlackなどに通知するよう設定したり、合計月次コストや1日の総使用状況などの集計データを取得・管理したりできます。ただし、APIを利用する際はリクエストごとに0.01ドルの料金が加算される点は留意しておきましょう。

AWS Cost Explorerの活用事例

最後に、Cost Explorerなどを活用し、コスト削減を成功させた「Airbnb」や45%のコスト削減を実現した「Wildlife Studios」などの活用事例をご紹介します。

Airbnb(エアビーアンドビー、通称エアビー)

宿泊施設を提供する人と、それを利用する旅行者をつなぐプラットフォームを、世界中で展開している「Airbnb」は、サービス開始初期段階からCost Explorerを利用していました。そもそもAirbnbの運営には、何百ものサービスやハイレベルな技術が多く関わっているため、より一元化された摩擦の少ない購入プロセスを目指す必要があったのです。

そこで同社は、コスト配分を可視化できるCost Explorerを利用しました。同時に、社内のデータインフラストラクチャを利用して、データウェアハウジングスタックのコスト可視化機能を拡張するため、同社はAWS Cost and Usage Reportsも活用。さらに、Saving Plansも早期に採用し、AWS上の管理コストを大幅に削減することに成功しました。同社のシニアファイナンスマネージャーのAri Siegel氏も、「Savings Plansのおかげで、有意義なコスト削減を実現できた」と語っています。

さらに詳しく知りたい方は、AWS公式導入事例ページ 新規ウィンドウで開くよりご確認ください。

Verisk(ベリスク)

データに基づく予測分析や意思決定支援ソリューションを提供する、アメリカの企業「Verisk」は、急速な規模拡大にともない、IT費用の管理やコスト最適化に課題を抱えていました。特に、オンプレミスのデータセンターからAWSへの移行計画に際して、費用に関する正確な意思決定が必要だったことに加えて、部門ごとに管理されている多数のAWSアカウント間での、IT環境のばらつきも大きな課題となっていました。

この課題を解決するために同社は、複数年にわたるクラウド移行計画を立ち上げ、FinOpsチームを設立。このチームは、Cost ExplorerやAWS BudgetsなどのAWS Billing and Cost Managementツールを活用して、移行中のIT費用の管理やコスト最適化に取り組みました。また、AWS Budgetsを活用して各部門のAWS予算のクラウド支出目標を設定し、予算のしきい値に対する実際のコストと使用量を追跡したり、AWS Cost & Usage Report(AWS CUR)を用いて、AWSサービスに関するデータとメタデータをより深く掘り下げたりする取り組みを行いました。

その結果、費用に関する意思決定をより正確に行えるようになり、費用対効果の高いサービスを推進することで、以前よりもクラウドのコスト削減に成功。Cost Explorerを使ったリソース使用状況の可視化と長期的な予測によって、クラウド管理の効率向上とコスト削減の両面で大きな成果を達成しています。

さらに詳しく知りたい方は、AWS公式導入事例ページ 新規ウィンドウで開くよりご確認ください。

Wildlife Studios(ワイルドライフ・スタジオズ)

ブラジルに拠点を置くモバイルゲーム開発会社「Wildlife Studios」は、創業以来AWSを利用していました。しかし、ユーザー数の急増にともない、AWS関連の支出が増加するという悩みに直面し、AWSに関するコストや使用量の可視化と最適化が急務となっていました。

そこで同社は、AWS Cost & Usage Reportを活用し、AWSアカウントごとの推定料金の把握に努めました。さらに、Cost Explorerを利用し、社内で開発されたレポートシステムと統合して、AWSの使用状況をより深く理解する努力をしました。そして、このプロセスを通じてAmazon EC2の使用率などを分析し、終了状態やアイドル状態、サイズ超過などのインスタンスを特定。導入後の結果として、AWSに関する年間支出のうち「45%の削減」を実現することに成功しました。また、前年度のAmazon EC2に関するコストデータを表示し、来年度の支出額を予想することが可能となったため、どのリザーブドインスタンスを購入するかなど、より良い選択をするための情報取得にも活用しているとのことです。

さらに詳しく知りたい方は、AWS公式導入事例ページ 新規ウィンドウで開くよりご確認ください。

まとめ

AWS Cost Explorerを活用すると、AWSのコストや使用量を可視化でき、どの部分にどれだけの費用がかかっているかをわかりやすく把握できます。その結果、企業はコスト削減の機会特定やリソースを無駄なく効率的に利用できるようになるなど、多くのメリットを得られるでしょう。また、AWS BudgetsやAWS Cost & Usage Reportなどと併用することで、コスト管理はさらに容易になります。Cost Explorerの機能を最大限に活用し、コスト削減や管理・運用効率の改善を実現してみてはいかがでしょうか。

TOKAIコミュニケーションズでは、AWS運用時に重要なポイントとなるコスト削減についても、運用・導入支援を行っています。コスト削減や最適化についてお悩みの方は、当社までお気軽にご相談 新規ウィンドウで開くください。

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