最終更新日:2025.12.25

AWS Pricing Calculatorの使い方と料金見積もり手順

AWS Pricing Calculatorの使い方と料金見積もり手順

AWSの導入や移行を検討する際、まず必要となるのが「利用料金の見積もり」です。しかし、従量課金型であるAWSは、従来のオンプレミスとは考え方が異なり、「どの項目を見積もればよいか分からない」「正確な金額が出せるか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、AWS料金を見積もる上での基本的な考え方を整理し、公式の見積もりツール「AWS Pricing Calculator」の使い方や、具体的な料金試算例をステップ形式で解説します。

【この記事で分かること】

  • AWS料金を見積もる際に検討すべき「3つの要素」
  • 公式ツール「AWS Pricing Calculator」の具体的な操作手順
  • Webサイト構築や社内サーバー移行時の「AWS料金試算例」
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AWS料金の見積時に検討すべき項目

AWSの料金体系は、従量課金型が基本であり、これは「利用した分だけ料金が発生する」という考え方です。また、利用するサービスのスペックや容量が大きいほど、利用単価は高くなります。

見積もりの基本的な考え方として、今回は例として「AWS上にサーバーを立て、データの保存とログ格納を行うシステム」を構築するケースを想定します。 この場合、料金に大きく影響する要素は「サーバーのスペック」「ストレージの容量」「データ転送量」の3点です。
それぞれにおいて検討すべき項目は以下の通りです。これらはAWS公式ツールを使用することで、誰でも簡単に試算することができます。

料金に関係する要素 見積項目
サーバのスペック
  • 使用するオペレーティングシステム
  • Amazon EC2インスタンスの種類
使用するストレージの容量
  • Amazon EBSの容量
  • Amazon S3の容量
データ転送
  • AWSから外部(インターネット)へのデータ転送

AWS公式 料金の見積ツール「AWS Pricing Calculator」の使い方

前述したAWS公式の見積ツールが、「AWS Pricing Calculator」です。以前は、「簡易見積ツール」も存在していましたが、現在は統合されています。

このツールを利用することで、主要なAWSサービスの料金をブラウザ上で手軽に見積もることが可能です。 ここからは、代表的なサービスである「Amazon EC2(仮想サーバー)」を例にして、クイック見積もりの手順をステップ形式で解説します。

  1. (1)

    公式見積ツール「AWS Pricing Calculator」新規ウィンドウで開くにアクセスする。

  2. (2)

    AWS Pricing Calculatorのトップページ右上の言語設定を「English」から「日本語」へ変更する。

  3. (3)

    「見積もりの作成」をクリックする。

  4. (4)

    サービスの選択画面を表示する。

  5. (5)

    サービスの選択画面内にある検索窓より、「EC2」と入力する。

    入力後、Amazon EC2がサービス選択画面上部に表示されるので、「設定」をクリックする。

  6. (6)

    設定 Amazon EC2 のページで「クイック見積り」を選択する。

  7. (7)

    「リージョンを選択する」タブを開き、使用するリージョン(今回はアジアパシフィック 東京)を選択し、「リージョンを変更する」をクリックする。

    リージョンを変更すると以下のダイアログが表示される。その後「リージョンの変更」をクリックする。

  8. (8)

    設定 Amazon EC2 のページの「EC2インスタンスの仕様」で、EC2インスタンスを実行するオペレーティングシステムを選択する(今回はLinuxを選択)。

  9. (9)

    「数量」欄で、必要なEC2インスタンスの数を指定する。

    • デフォルト設定のインスタンス数は「1」となりますので、必要に応じて変更を行ってください。
  10. (10)

    インスタンスタイプより、インスタンスごとの要件を入力する。

    各インスタンスの最少要件を入力することで、どのEC2インスタンスを使用するのかが自動的に選択されます。

  11. (11)

    価格戦略より、ご自身の利用する条件に合わせ「価格モデル・予約期間・支払いオプション」を選択する。

    今回は例として「オンデマンドインスタンス」を選択します。

  12. (12)

    Amazon Elastic Block Storage(EBS)より、ご自身の利用条件に合わせ、各EC2インスタンスのストレージ(ストレージタイプおよびストレージ量)をタブから選択する。

  13. (13)

    画面最下部に見積結果が表示される。

    「見積りに追加」をクリックすることで、算出したAmazon EC2の見積料金を保存できます。他のサービスでも同じように見積もることができます。

AWS料金の試算例

AWS料金の試算例は、AWSの公式サイトにもいくつか例示されています。 中でもニーズが多い、Webサイト用のシステム構築とWindows Server 社内業務アプリのクラウド移行の2例をご紹介します。

トラフィック増が見込まれる動的な Web サイト構築の例(月額:約$736)

構成 選択サービス
ロードバランサー Elastic Load Balancing
SSL/TLS 証明書 AWS Certificate Manager (ACM)
Web サーバ

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)

Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS)

データベース Amazon Relational Database Service (Amazon RDS)
NAT ゲートウェイ NAT Gateway

Windows Server 社内業務アプリ環境移行の例(月額:約$2,037)

構成 選択サービス
Windows Server

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)

Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS)

SQL Server Amazon RDS for SQL Server
ロードバランサー Elastic Load Balancing
オンプレミスとの接続 AWS VPN - AWS サイト間 VPN

どのような目的でクラウドを導入し、どのような構成にするのかを明確にすることで、各サービスの料金見積が可能となります。

AWS料金をより節約できる2つの方法

AWSは使い方次第でコストを大幅に最適化できます。見積もり段階で以下の2点を意識しておきましょう。

1. リザーブドインスタンス(予約購入)の活用

AWS公式料金の見積ツール「AWS Pricing Calculator」の使い方(11)で触れた「価格戦略」の選択が重要です。「オンデマンドインスタンス」は柔軟性がありますが、定価での利用となります。 もし、システムを1年以上継続して利用することが決まっている場合は、「リザーブドインスタンス(またはSavings Plans)」を選択して1年または3年分の利用を予約することで、オンデマンドと比較して最大72%程度の割引を受けられる場合があります。

2. 予算超過を防ぐアラート設定

想定外の利用料金発生を防ぐため、Amazon CloudWatchの「請求アラーム」機能の利用を推奨します。「設定した金額を超えそうになったらメールで通知する」といった設定が可能になり、コスト管理のリスクを低減できます。

AWSの見積で迷う場合は専門業者に相談を

AWS Pricing Calculatorを使えば概算費用を知ることができますが、実際の運用では「どのインスタンスタイプが自社に最適か」「データ転送量はどのくらいを見込めばよいか」といった専門的な判断が必要になるシーンも少なくありません。

ご自身での見積もりが難しいと感じた場合や、よりコスト効率の良い構成を提案してほしい場合は、AWSパートナー企業である当社の「AWS導入サポート」 新規ウィンドウで開くをご活用ください。初めてのAWSの導入から構築・検証などを幅広くサポートしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。 新規ウィンドウで開く

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