2022.03.15

AWSとレンタルサーバーの違いとは?両者を使い分けるポイントを解説

AWSとレンタルサーバー(共有・専用・VPS)、どちらを選択すべきかを悩んでいる場合、両者の特徴を把握しておけば、判断しやすくなるはずです。本記事では、AWSとレンタルサーバーの違いを比較して、使い分けるためのポイントを解説します。

  • VPS...Virtual Private Server(仮想専用サーバー)

AWSとレンタルサーバーの違い

まず、AWSについてはクラウドサービスの一種として捉えるとよいでしょう。AWSは、複数台の物理サーバーに複数の仮想的な専用サーバーを用意し、インターネットを介してサービスを提供しています。ユーザーは、サービスを利用する分のみ仮想サーバーを専有できます。

一方のレンタルサーバーは、レンタルで利用できるサーバー全般のことを指し、サーバーの仕組みによって共有・専用・VPSの3種類に分類できます。

両者ともに月額料金(年間一括払いなどもあり)を支払い、インターネット上で利用するという点は共通しています。しかし、以下のように比較してみると、費用や特徴は大きく異なることがわかります。なお、こちらはAWSと一般的なレンタルサーバーの比較となりますので、サービス提供元によっては異なる場合があります。

AWSとレンタルサーバーの主な特徴の比較

比較項目 AWS レンタルサーバー
共有 専用 VPS
導入コスト(※1) 無料 必要 必要 無料
運用コスト
通信速度 ○~◎
構成の柔軟性
サーバーの設定管理
カスタマイズ 〇~◎ × × ×
Root権限(※2)
  • ※1 AWSの導入コストは無料ですが、レンタルサーバーの場合、一般的には導入コストが必要になります。ただし、レンタルサーバーの中でも、VPSは導入コストが無料のサービスもあります。
  • ※2 システム管理者に付与されるユーザー権限であり、ほぼ全ての操作が可能になります。

AWSは、レンタルサーバー全般と比較して、システム構成の柔軟性やカスタマイズの自由度、通信速度などに優位性があります。また、レンタルサーバーは自由度が低い一方で、共有サーバーやVPSは料金が安いという点が特徴的です。

なお、AWSは、提供するサービスによってSaaS(Software as a Service)・PaaS(Platform as a Service)・IaaS(Infrastructure as a Service)の3つに分類できます。これらはそれぞれ、ユーザーが管理できる領域、つまりカスタマイズの自由度が以下のように変わります。

SaaS(ユーザーの管理領域:データ ベンダーの提供・管理領域:ソフトウェア、ランタイム、ミドルウェア、コンテナ、OS、ハイパーバイザー、サーバー、ストレージ、ネットワーク)、PaaS(ユーザーの管理領域:データ、ソフトウェア ベンダーの提供・管理領域:ランタイム、ミドルウェア、コンテナ、OS、ハイパーバイザー、サーバー、ストレージ、ネットワーク)、IaaS(ユーザーの管理領域:データ、ソフトウェア、ランタイム、ミドルウェア、コンテナ ベンダーの提供・管理領域:OS、ハイパーバイザー、サーバー、ストレージ、ネットワーク)
SaaS、PaaS、IaaSの管理領域

レンタルサーバーの種類ごとの仕組み

前述の通り、レンタルサーバーには種類別に違いがありましたが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。種類ごとの仕組みを詳しく見ていきましょう。

共有サーバーの仕組み

1台の物理サーバーを複数のユーザーで共有する方式のレンタルサーバーです。すでに環境が完成しているため、サービスによっては契約してすぐに利用できる点や、他のレンタルサーバーよりも安価な点が、大きなメリットといえるでしょう。また、メンテナンスなどはサービス提供元が行いますので、運用の手間を削減できます。

一方で、1台の物理サーバーを複数のユーザーが利用しているため、他のユーザーの利用状況によっては、パフォーマンスに影響を受けてしまう可能性があります。さらにサーバーの構成は変更できず、Root権限を使用できない点が、共有サーバーのデメリットです。

専用サーバーの仕組み

1台の物理サーバーを1ユーザーで専有する方式のレンタルサーバーです。サーバーを専有しているため、他のユーザーからの影響を心配せず利用でき、Root権限も使用できます。ただし、サーバーの構成を変更する場合は、契約や物理サーバー自体の変更が必要となるのが一般的なため、柔軟性に欠けます。また、1台の物理サーバーを専有することから、一般的に月額費用は高額です。

VPSの仕組み

VPSは、1台の物理サーバーに対して複数の仮想的な専用サーバーが用意されているレンタルサーバーです。ユーザーが仮想サーバーを専有する点はAWSと同じですが、物理サーバーの台数が違います。そのため、サーバースペック(以下、スペック)の拡張が難しい点が、AWSとの大きな違いです。もし、スペックを柔軟に変更したい場合は、VPSよりもAWSが適しているといえるでしょう。

AWS上における共有サーバーと専用サーバー

AWSにおいても、共有サーバーと専用サーバーの概念が存在します。AWSでは、仮想サーバーを構築するサービスとして、「Amazon EC2(以下、EC2)」を提供しています。このEC2では、インスタンスと呼ばれる単位で仮想サーバーを構築し、通常は共有された物理サーバー(ホスト)上で起動します。しかし、専有ホスト上で利用することも可能であり、メリットとして共用サーバーを利用するよりもライセンスコストを節約できる点や、企業コンプライアンスを高められる点が挙げられます。
(参照:Amazon EC2 専有ホスト 新規ウィンドウで開く

AWSとレンタルサーバーの使い分け

それでは、AWSとレンタルサーバーはどのように使い分ければ良いのでしょうか。それぞれが向いているケースをイメージしながら見ていきましょう。

AWSが向いているケース

ここまでにお伝えした通り、AWSはシステム環境の拡張性が高く柔軟に構成を変更できるため、小規模から大規模までのあらゆる要件に適しています。たとえば、アクセス数の変動が大きなECサイトやステークホルダーとの信頼関係に関わる企業の公式サイトなどは、AWSを選択することによって安定的な運用が望めるでしょう。ただし、AWSが従量課金制であることには注意が必要です。仮にアクセス数が少なく毎月安定しているという場合は、レンタルサーバーの方が割安になる可能性が高いです。

AWSで提供している代表的なサーバサービスに関する記事は、以下を参照してください。

AWS活用法 | おさえておきたい基本サービス Amazon EC2とは?

共有サーバーが向いているケース

レンタルサーバーの中でも、共有サーバーは安価で、メンテナンスなどの保守管理もサービス提供元に任せることができます。そのため、共有サーバーは、アクセス数の少ない小規模なサイトなどに適しているでしょう。しかし、共有サーバーは他のユーザーも利用するという観点から回線速度やセキュリティ面が懸念されますので、機密情報などを扱いセンシティブな運用が求められる企業内インフラや、アクセス数の多い大規模なサイトにはおすすめできません。

専用サーバーやVPSが向いているケース

中規模以上の企業で一定スペックのサーバーを利用するなら、専用サーバー以上のスペックが求められるでしょう。専用サーバーは比較的高額ですが、中長期的にサーバーの拡張などが不要であるならば、総コストはAWSより安くなる可能性もあります。また、スペックは維持しつつ専用サーバーよりもコストを抑えたい場合は、VPSが適しているでしょう。ただし、スペックを変更する際に手間やコストがかかるサービスが多いため、将来的にスペックの拡張を予定している場合は、AWSの方が適しているといえるでしょう。

AWSとレンタルサーバーで迷う場合はご相談を

AWSは企業ユースに適しており、特にスペックの拡張性や回線速度、セキュリティ面に優位性があります。レンタルサーバーと比較する場合は、月額料金の比較だけでなく、スペックの拡張性や、サーバーの設定管理のしやすさも併せてご検討ください。

もし、AWSとレンタルサーバーのどちらが適しているか迷う場合は、お気軽にお問い合わせ 新規ウィンドウで開くください。当社ではヒアリング内容に基づき、AWSを選択するべきかどうかも含め、お客様に最適なご提案をいたします。

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