
AWSを利用する際、最初にアクセスするのが「AWSマネジメントコンソール」です。ここでは、クラウド上のサービスを視覚的に操作したり、設定を行ったりするための入り口となる重要な画面です。
しかし、ログイン方法には「ルートユーザー」と「IAMユーザー」という2つの種類があり、それぞれ使い方や注意点が異なります。
本記事では、AWSマネジメントコンソールへの正しいログイン方法をわかりやすく解説しながら、ユーザーの種類や使い分け、トラブル時の対処法まで詳しくご紹介します。これからAWSを導入・運用しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
AWSマネジメントコンソールとは?
AWSマネジメントコンソールは、AWS操作の中枢となるウェブ画面です。
まずログインすると表示されるダッシュボードには、よく使うサービスへのショートカット(ダッシュボード機能)や、200以上のサービスから目的のものを簡単に探せる検索BOX(サービス検索)が並びます。
また、画面上部で日本や他国のリージョンを切り替えられるほか、請求とコスト管理画面で利用料の確認、アカウント設定画面ではセキュリティ情報の更新が可能です。
さらに、AWS HealthやAmazon CloudWatchによる通知・アラート機能も備わっており、一画面で各種情報に気づけるのが特徴。ログイン=この画面へのアクセスと理解すると、操作の全体像が掴みやすくなります。
AWSへログインするときに利用するユーザーの違いと使い分け
AWSでは、ログイン時に使用する「ユーザーの種類」を正しく理解し、目的に応じた使い分けを行うことが重要です。ここでは、それぞれのユーザーの特徴や運用フローについて詳しく解説します。
ルートユーザーとは?
ルートユーザーは、AWSアカウント作成時に自動的に発行される「アカウントの所有者」に相当する存在で、すべてのサービスや設定に無制限でアクセスできる唯一のユーザーです。
請求情報の管理やMFA(多要素認証)の無効化、サポートプランの変更といった、特権的な操作はこのルートユーザーでしか実行できません。
非常に強力な権限を持つ一方で、誤操作や不正アクセスが起こった際のリスクも大きいため、日常的な利用は避け、必要なときだけ限定的に使用することがベストプラクティスとされています。
IAMユーザーとは?
IAMユーザーとは、「AWS Identity and Access Management(IAM)」を用いて作成される個別のユーザーアカウントです。
個人や部署、アプリケーション単位で柔軟に作成でき、必要な権限だけを細かく付与できるのが特徴です。例えば、Amazon S3 バケットへのアクセス権のみ、あるいはAmazon EC2 インスタンスの起動のみなど、業務内容に応じた制限を設けられます。
また、IAMユーザーにはサインインURLやパスワードなどが個別に設定されるため、複数人での安全な運用にも適しているでしょう。AWSではセキュリティの観点から、通常業務はこのIAMユーザーを通じて行うことが推奨されています。
管理者IAMユーザーの作成と推奨される運用フロー
AWS環境を構築する際は、まず最初に「管理者用IAMユーザー」を作成することがセキュリティと運用の基本です。以下の手順に従って設定を進めましょう。
運用フロー
- 1.
ルートユーザーでログインする
AWSアカウント作成直後は、まずルートユーザーでログインします。このとき、すぐにMFAを有効化し、アカウントの保護を強化します。 - 2.
IAM管理者ユーザーを作成
IAMコンソールにアクセスし、新規ユーザーを作成します。ユーザー名は「admin」や「aws-admin」など明確なものがおすすめです。 - 3.
AdministratorAccessポリシーを付与
作成したIAMユーザーに対して「AdministratorAccess」ポリシーを付与します。これにより、ほとんどのAWSリソース操作が可能になります。 - 4.
管理者IAMで再ログイン
IAMユーザーでのログインURLを確認し、ルートユーザーではなく管理者IAMユーザーで再ログインします。以降はこのアカウントが基本の運用窓口になります。 - 5.
業務用IAMユーザーを用途別に作成
開発者、監視担当、インフラ担当など、実際の業務ごとにIAMユーザーを作成し、それぞれの役割に応じて最小限の権限を割り当てます。 - 6.
定期的に権限とユーザーを見直す
プロジェクトの進行や人事異動に応じて、不要なユーザーやポリシーを整理し、常にセキュリティを最新の状態に保つことが重要です。
このように、ルートユーザーは初期設定と緊急時のみに使い、日常的な運用はIAMユーザーへと切り替えることで、セキュリティと管理の両立が可能になります。
AWSへのログイン方法
AWSマネジメントコンソールへアクセスするには、ルートユーザーとIAMユーザーでログイン手順が異なります。
ここでは、それぞれのステップに加え、MFAの設定方法も含めて順を追って解説します。
ルートユーザーでログインする方法
ルートユーザーでAWSマネジメントコンソールにログインするには、以下の手順に従ってください。
手順:
- 1.
ブラウザでAWSマネジメントコンソール
にアクセス
- 2.
「もう一度ログインする」をクリック
- 3.
「ルートユーザーのEメールを使用したサインイン」を選択
- 4.
アカウント作成時に登録したメールアドレスを入力し、「次へ」をクリック
- 5.
パスワードを入力し、「サインイン」をクリック
- 6.
MFAを有効にしている場合は、認証アプリで発行されたワンタイムパスコードを入力してログイン
IAMユーザーでログインする方法
IAMユーザーとしてログインするには、ルートユーザーとは異なる専用URLを使用します。
手順:
- 1.
ブラウザでIAMユーザー用のサインインURLにアクセス(https://〈アカウントID〉.signin.aws.amazon.com/console/)
- ※ URLがわからなければ、直接アカウントIDを入力する
- 2.
IAMユーザー名を入力
- 3.
IAMユーザーに割り当てられたパスワードを入力
- 4.
「サインイン」をクリックしてログイン
- 5.
MFAを有効にしている場合は、ワンタイムパスコードの入力を求められるため、入力後に「サインイン」をクリック
- ※ ログインURLはブックマークしておくと、毎回入力の手間が省けます。
MFA(多要素認証)の設定方法
AWSでは、ルートユーザー・IAMユーザーともにMFAの設定が推奨されています。設定を行うことで、パスワード漏洩時の不正アクセスを防げるでしょう。
なお、ルートユーザーは自身のアカウントの「セキュリティ認証情報」ページで設定しますが、IAMユーザーの場合は、自身の認証情報ページ、または管理者によってIAMコンソールから設定される、というように管理画面が異なります。
手順:
- 1.
AWSマネジメントコンソールにログイン後、画面右上のアカウント名をクリックし、「セキュリティ認証情報」へ進む
- 2.
「MFAデバイスの割り当て」を選択
- 3.
「デバイス名」を入力し、MFAデバイスを選択したら「次へ」をクリック
- ※ ここでは、認証アプリケーションを用いた方法を選択する
- 4.
表示されたQRコードを、スマートフォンの認証アプリ(Google Authenticatorなど)でスキャン
- 5.
アプリに表示された6桁のコードを2回連続で入力し、「MFAの割り当て」をクリックして完了
- ※ 設定後、次回からのログインにはこのワンタイムコードが必要になります。
【Q&A】ログインできない?よくある原因と対処法
AWSへのログイン時にトラブルが発生することは珍しくありません。ここでは、よくある4つのケースとその対処法を紹介します。
Q1. パスワードを忘れてしまいました。
A. ログイン画面の「パスワードをお忘れですか?」リンクから再設定できます。ルートユーザーはメールアドレスが必要ですが、IAMユーザーの場合はアカウントIDとユーザー名も必要になります。
Q2. アカウントID(エイリアス)がわかりません。
A. AWSアカウント作成時に届いたメールに記載されています。社内でAWS管理者がいる場合は、そちらに確認するのが確実です。
Q3. MFAデバイス(スマートフォン)を紛失・故障しました。
A. MFAが使えない場合は、AWSサポートへの連絡が必要です。ルートユーザーは本人確認手続き、IAMユーザーは管理者経由でリセット申請を行います。
Q4. ログインはできましたが「権限がありません」と表示されます。
A. IAMユーザーの操作権限が不足している可能性があります。管理者にIAMポリシーの見直しを依頼してください。
まとめ
AWSのマネジメントコンソールは、すべてのサービス操作の起点となる重要なツールです。ルートユーザーとIAMユーザーの違いを理解し、セキュリティと効率の両立を意識した運用が求められます。
AWSの初期設定や運用体制の構築に不安がある場合は、専門パートナーによるサポートを活用するのが賢明です。
TOKAIコミュニケーションズでは、豊富な導入実績と認定資格に裏打ちされたノウハウで、AWS導入から運用までを一貫してご支援します。まずは、クラウド導入のポイントをまとめた無料資料「人手不足解消・業務効率化・コスト削減を叶える!今から始めるAWS完全ガイド 」をご活用ください。お困りの際はお気軽にご相談
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