最終更新日:2025.10.31

AWS CDKとは? CloudFormationとの違いやメリット・注意点を解説!

AWS CDKとは? CloudFormationとの違いやメリット・注意点を解説!

「AWSのインフラ構築をもっと効率化したいが、手作業ではミスが多くて大変だ」
多くの開発者がそう考える一方で、「CloudFormationは学習コストが高く、YAMLの記述が複雑で使いこなせない」という課題に直面しています。

特にAWSのインフラ管理では、手動での構築、CloudFormationによる管理、そして使い慣れたプログラミング言語を使えるAWS CDKまで、様々な選択肢が存在します。

この記事では、AWSのインフラ構築・管理を担当されている開発者の方に向けて、以下の点をわかりやすく解説します。

  • AWS CDKがなぜ今注目されているのか
  • CloudFormationとの具体的な違いや、CDKならではのメリット・デメリット
  • 自社の開発プロセスにCDKを導入するための具体的な始め方

ツールの選定ミスは、開発速度の低下や管理コストの増大に直結します。この記事を最後まで読めば、AWS CDKの強力な機能を明確に理解し、自信を持ってIaC(Infrastructure as Code)の新たな一歩を踏み出せるようになります。

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AWS CDKとは

AWS CDKとは、TypeScriptやPythonといった主要なプログラミング言語を使用してAWS上のリソースを定義できるツール(IaC, Infrastructure as Codeを実現するフレームワーク)です。

AWSでシステムを開発するには、ストレージ・データベース・ネットワーキングなど、さまざまなリソースの構築が必要です。AWSマネジメントコンソールやAWS CLI(コマンドラインインターフェイス)を使った手作業での構築は、コードの記述量が多くなり複雑さが増すため、時間がかかります。また、手作業に依存すると、同じ環境を再現する際にミスが発生しやすく、生産性も低下してしまいます。

そこで利用されているのが、コードでインフラを管理するAWS CloudFormationです。しかし、CloudFormationを運用するにはJSONやYAML形式での記述が必要であり、これらの特殊な文法には一定の専門知識が求められます。

AWS CDKは、このCloudFormationの課題を解決します。開発者は慣れ親しんだプログラミング言語でインフラのコードを記述でき、CDKがそれを自動的にCloudFormationのテンプレートに変換してくれるのです。

AWS CDKとCloudFormationの違い

AWS CDKとCloudFormationは、どちらもAWSリソースをコードで管理するIaCツールですが、そのアプローチに大きな違いがあります。

AWS CDK AWS CloudFormation
記述形式 TypeScript, Python, Javaなど JSON, YAML
抽象度 高(少ないコードで記述可能) 低(詳細な設定が必要)
柔軟性 高(ループ、条件分岐などが可能) 低(YAMLの構文に従う)
最終成果物 CloudFormationテンプレート CloudFormationテンプレート

CloudFormationがインフラの「設計図」を静的に記述するツールだとすれば、AWS CDKはプログラミングの力でその「設計図を動的に生成する」ツールと言えます。

AWS CDKの基本的な使い方と主要コマンド

AWS CDKを利用した開発は、主に以下のステップで進められます。

  • 1.
    プロジェクトの初期化 (cdk init)
    コマンドラインで cdk init app --language typescript のように実行し、指定したプログラミング言語でCDKプロジェクトの雛形を作成します。
  • 2.
    コードの記述(Constructの利用)
    CDKの中心的な構成要素である「Construct(コンストラクト)」を使い、インフラのコードを記述します。ConstructはS3バケットやVPCといったAWSリソースを表現する部品で、これらを組み合わせることでインフラを定義します。
  • 3.
    CloudFormationテンプレートへの変換 (cdk synth)
    cdk synth コマンドで、記述したコードをCloudFormationが解釈できるYAML形式のテンプレートに変換します。これにより、デプロイ前にどのようなリソースが作成されるかを確認できます。
  • 4.
    AWS環境へのデプロイ (cdk deploy)
    cdk deploy コマンドで、生成されたテンプレートを元にAWS環境へリソースをデプロイします。変更差分も自動で検出してくれるため、安全に更新作業を行えます。

AWS CDKを利用するメリット

続いて、AWS CDKの主なメリットを3点紹介します。

慣れたプログラミング言語でリソースの構築ができる

開発者は、TypeScript・Python・Javaなど、普段から使い慣れている言語でインフラを構築できます。これにより、学習コストを抑えつつ、コード補完や型チェックといったIDE(統合開発環境)の強力なサポートを受けながら効率的に開発を進められます。

さらに、for文を使って複数のS3バケットを一度に作成したり、if文で開発環境と本番環境のリソース設定を動的に切り替えたりといった、プログラミング言語ならではの柔軟な制御が可能です。

再利用可能なコンポーネントで開発を効率化できる

AWS CDKでは、先ほど紹介した「Construct」という単位でインフラの構成をコンポーネント化できます。例えば、「VPCとサブネット、セキュリティグループ」といったネットワーク構成一式を一つのコンポーネントとして定義し、さまざまなプロジェクトで再利用できます。これにより、コードの重複をなくし、開発スピードと品質を向上させることができます。

既存のツールと連携できる

AWS CDKは、GitHubやJenkinsといった既存のCI/CDツールとの連携が容易です。アプリケーションのコードと同様に、インフラのコードもバージョン管理や自動テスト、自動デプロイのパイプラインに組み込むことができます。これにより、インフラ変更のプロセスを自動化し、ヒューマンエラーを削減できます。

公式のワークショップが用意されていて、実践形式で学習できる

AWSでは、無料のチュートリアルサイト「AWS CDK Workshop(ワークショップ)」が提供されています。ワークショップを通じて、実際に手を動かしながらAWS CDKを使用してAWSリソースを構築するプロセスを体験できるため、学習のハードルが低くなっています。このワークショップでは、AWS CDKアプリケーションの新規作成やAWS環境へのアプリケーションのデプロイ、独自の再利用可能なコンストラクトの定義など、さまざまな実践で役立つスキルを習得できます。

AWS CDKを利用する際の注意点

最後に、AWS CDKを利用する上での注意点を3つ紹介します。

一定の学習コストがかかる

AWS CDKを活用するには、利用するプログラミング言語(JavaScript, TypeScript, Python, Java, C#, .NET)についての基本的な知識が必要です。プログラミングの経験がある方であれば、操作方法についてある程度の直感的な理解が得られるでしょう。しかし、これまでプログラミングに触れたことがない方や、十分な知識を持っていない方がAWS CDKをすぐに使いこなすのは難しいといえます。また、AWSに関する基礎知識(サービス・API・セキュリティなど)も一定のレベルが求められるため、必要に応じて情報のキャッチアップが必要です。

対応していないサービスも

AWS CDKは多くのサービスに対応していますが、すべてのサービスに完全に対応しているわけではありません。AWS CDKが対応していないサービスを利用しなければならないときは、手動でリソースの構築を行う必要があります。なお、AWS CDKは定期的に新しいサービスに対応しており、対応範囲が拡大していますので、随時公式Webサイトなどを確認してみてください。

条件が増えるほどコードが複雑になる

AWS CDKはプログラミング言語を利用するため、動的なインフラの構築に特定の条件を設定できる利点があります。例えば、アプリケーションの負荷状況に応じて、EC2インスタンスの数を増減させるといった運用も可能です。ただし条件が複雑になるとコードも複雑になり、可読性が低下する可能性があります。コードが複雑化しすぎると開発者以外の人が理解できなくなり、特定の開発者への依存性が高くなるというリスクも生じます。円滑にAWSリソースを構築・運用・管理するためには、実装コードのレビューができる一定レベルの専門知識を持った人材が求められる、ということを理解しておきましょう。

まとめ

今回は、AWS CDKの概要やCloudFormationとの違い、利用するメリット・注意点について解説しました。

【AWS CDKのポイント】

  • TypeScriptやPythonなどの使い慣れた言語でAWSインフラを定義できる
  • コードをCloudFormationテンプレートに自動変換してくれる
  • ループ処理やコンポーネントの再利用により、効率的で柔軟なインフラ管理が可能
  • 利用にはプログラミング言語とAWSの基礎知識が必要

AWS CDKを導入することで、インフラ構築の生産性を飛躍的に向上させることができます。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すには、クラウドとプログラミングの両方に関する知識が求められます。

当社では、AWSの導入から設計、運用保守までをワンストップで支援しております。AWS CDKを活用した効率的なインフラ構築にご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談新規ウィンドウで開くください。

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