2022.03.28

AWS Transit Gatewayを導入するメリットとは?構造や構築例を詳しく紹介

AWSで実行するワークロード数が増えると、複数VPCでの運用が増加します。その結果、VPC間のネットワークが複雑になり、管理にお困りの方も多いのではないでしょうか?

今回はそのような課題を解決する、AWS Transit Gatewayについてご紹介します。
記事内では、AWS Transit Gatewayを導入するメリットを紹介し、AWS Transit Gatewayの構造・構築例について説明します。

AWS Transit Gatewayとは

組織で複数のAWSアカウントを利用し、複数のVPC接続が発生する場合、VPCピアリングでVPC間の接続をしている方も多いのではないでしょうか?
VPSピアリングでの接続は、接続ポリシーを一元管理できないと、運用面で大きく負担になりますよね。

とりわけ、オンプレス環境からの接続では、VPNをそれぞれのVPCにアタッチする必要があります。
VPCの数が増えるほど、構築に時間がかかり、管理が複雑化し運用に手間がかかります。

このような場合に、簡単に数百・数千の接続を構築できるのが、AWS Transit Gatewayです。
AWS Transit Gatewayとは、仮想プライベートクラウド(Amazon VPC)とオンプレミスネットワークを相互接続するために使用できるネットワークの中継ハブ(クラウド上にあるルータ)です。
AWS Transit Gatewayを利用することで、ネットワークを簡素化できます。

以下で、AWS Transit Gatewayを利用するメリットをご紹介します。

3つのメリット

メリット1:VPCピアリングを集約できる

AWS Transit Gatewayを用いると、アタッチメント数を減らすことができるため、VPCピアリングの手間を大幅に軽減できます。

AWS Transit Gatewayを用いてVPCピアリングを集約した図
※出典:AWS Black Belt Online Seminar AWS Transit Gateway 新規ウィンドウで開く
VPCピアリング集約のイメージ図

以下の表は、フルメッシュでVPCピアリングした数(①)とAWS Transit Gatewayを用いた後のアタッチメント数(②)です。VPCピアリングの手間を減らせたのが、お分かりいただけると思います。

①フルメッシュでVPCピアリングすると...②VPCピアリング の手間が大幅に軽減します。VPC数が2の場合:VPCピアリング数は1、AWS Transit Gatewayアタッチメント数は2。VPC数が3の場合:VPCピアリング数は3、AWS Transit Gatewayアタッチメント数は3。VPC数が4の場合:VPCピアリング数は6、AWS Transit Gatewayアタッチメント数は4。VPC数が5の場合:VPCピアリング数は10、AWS Transit Gatewayアタッチメント数は5。VPC数が10の場合:VPCピアリング数は45、AWS Transit Gatewayアタッチメント数は10。VPC数が20の場合:VPCピアリング数は190、AWS Transit Gatewayアタッチメント数は20。VPC数が50の場合:VPCピアリング数は1225、AWS Transit Gatewayアタッチメント数は50になります。
VPC数に応じたVPCピアリング数と、アタッチメント数の比較

メリット2:VPN接続を集約できる

AWS Transit Gatewayを用いると、VPCごとにVPN接続が必要だったのが1つに集約できるため、VPN接続料金を大幅に減らすことができます。

VPN接続集約のイメージ図
※出典:AWS Black Belt Online Seminar AWS Transit Gateway 新規ウィンドウで開く
VPN接続集約のイメージ図

以下の表は、VPCごとのVPN接続料金(①)とAWS Transit Gatewayを用いた後のVPN接続料金(②)です。VPN接続を集約できたため、接続コストを減らせたのがお分かりいただけると思います。

VPCごとにVPN接続が必要だったのが、AWS Transit Gatewayを用いるとVPN接続を集約できます。①VPN接続を利用した場合と②AWS Transit Gatewayを利用した場合の料金の違いは次の通りです。VPC数が2の場合:VPN接続料金は$0.096/時間、VPC数が3の場合:VPN接続料金は$0.144/時間、VPC数が5の場合:VPN接続料金は$0.240/時間、VPC数が10の場合:VPN接続料金は$0.480/時間、VPC数が20の場合:VPN接続料金は$0.960/時間、VPC数が50の場合:VPN接続料金は$2.400/時間になります。なお、AWS Transit Gatewayアタッチメント数はVPC数に関わらず$0.048/時間になります。
VPC・AWS Transit Gatewayを利用した接続料金の比較

メリット3:AWS Direct Connectとの接続を集約できる

AWS Transit Gatewayを用いることで、AWS Direct Connectとの接続を集約できます。ルーティングで接続するVPCの制御が可能になり、VPC間通信も制御ができるようになります。

AWS Direct Connectとの接続集約のイメージ図
※出典:AWS Black Belt Online Seminar AWS Transit Gateway 新規ウィンドウで開く
AWS Direct Connectとの接続集約のイメージ図

AWS Transit Gatewayの構造

AWS Transit Gatewayの構造についてご紹介します。

AWS Transit Gatewayの構造図

①ルートテーブル

AWS Transit Gatewayには最低1つのルートテーブルが必要です。もちろん、複数作成することも可能です。
AWS Transit Gateway作成時にデフォルトのルートテーブルが作成されます。
任意で新規作成もできますので、ご自身の目的に合わせて作成してください。

②アタッチメント

上記構造図では、AWS Transit GatewayとVPC・Direct Connect Gateway・サイト間VPN接続を関連付けています。

③アソシエーション

アタッチメントをルートテーブルに関連付けすることです。1つのアタッチメントに対し、アソシエーションできるルートテーブルは1つです。
通信ですが、アタッチメントがアソシエーションされたルートテーブルを参照し転送先が決定する仕組みです。転送先は、ルートテーブルにアソシエーションされている必要はありません。

④プロパゲーション

ルートテーブルの動的な伝播のことです。ルートテーブルのルートは、プロパゲーション(動的な伝播)とスタティック(静的な登録)の2種類のいずれかで設定できます

今回の仕様は、ルートテーブルごとにプロパゲーションするアタッチメントを登録します。また、各アタッチメントは複数のルートテーブルにプロパゲーションが可能です。これにより、自由に通信制御が可能になります。
なお、アソシエーションとプロパゲーションは相互に関連するものではありません。そのためアソシエーションはしないが、プロパゲーションはするという設定も可能です。

AWS Transit Gatewayの利用料金

AWS Transit Gateway は、アタッチメント利用料と、AWS Transit Gatewayを経由するデータ転送量に対して課金が行われます。

アジアパシフィック(東京)リージョンのAWS Transit Gatewayの料金

AWS Transit Gatewayのアタッチメントごとの料金 $0.07/時間
処理データ1GBあたりの料金 $0.02/GB

下記のような図の場合、アタッチメント5個分の利用量+データ転送量が課金対象になります。

AWS Transit Gatewayの課金対象となるデータ転送のイメージ図
AWS Transit Gatewayの課金対象となるデータ転送のイメージ図
  • AWS Direct Connect・VPNの利用料金は別途発生します。
  • AWS Transit Gatewayについて詳しく料金を知りたい方は、AWS Transit Gatewayの料金 新規ウィンドウで開くをご確認ください。

AWS Transit Gatewayの構成例

以下の図はAWS Transit Gatewayの構成例です。AWS Transit Gatewayを導入したことで、VPN接続を集約でき、VPCピアリングの手間を削減できました。

AWS Transit Gateway導入後の図
AWS Transit Gateway導入後の図

結果、コストや運用管理の手間を削減でき、ネットワークも簡素化されました。

クラウドファイルサーバーでの活用方法

ここまでAWS Transit Gatewayについて詳しく説明してきました。クラウドファイルサーバーサービス Amazon FSx for NetApp ONTAPでAWS Transit Gatewayを活用している記事をご紹介します。是非参考にしてみてください。

AWS活用法 | Amazon FSx for NetApp ONTAP導入時の注意や検討ポイントを徹底解説

まとめ

今回は、AWS Transit Gatewayを利用したオンプレミスと複数VPC間のネットワーク接続についてご紹介しました。
当社ではAWS Transit Gatewayを含むAWSとオンプレミス間のネットワーク(AWS Direct Connnect接続回線 新規ウィンドウで開く、VPN接続回線)をご提案することが可能です。特に閉域網接続においては、当社のキャリア・企業向け通信サービス「BroadLine」 新規ウィンドウで開くを利用するため、安心でセキュアな接続が可能です。

今回の記事よりAWS利用に興味を持たれた方は、是非当社までお問い合わせ 新規ウィンドウで開くください。

作成者:鳴海

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